ある昼下がりやった。

バスがいつもより遅れて運行されていた。

ここに建設現場で働くモクロミという気性の荒いオヤジが運転手に、

「道路をのろのろ運転する奴は床の上でものろのろするもんだぜ」と嫌味を言った。


そんな空気が張り詰めていたバス内にあって、

バス停から、

ボサボサ頭の中年の男が、

非常にゆっくりと入った来たので、

モクロミはウツが入った❗️


相変わらずバスは遅れて運行され、

モクロミは、

ナニもはめていない腕を見ながら、

「遅い」「遅い」とぶつくさ言った。


そんなとき、

あのボサボサ頭の中年が、

いきなり降りると言って、

走り出そうとしたバスを止めた。

そして、

ゆっくりと財布を出して中を調べ、

両替し始めた。

モクロミはキレて😠

「こら❗️この薮頭❗️きちんと金を用意するかSuicaを使え❗️」と怒鳴った!

が、

ボサボサ頭の男性はモクロミをスルーして、

両替したお金を数え料金箱に入れたが10円足らなかったので、

またゆっくりと財布の中をかきまわした。

モクロミはガチギレして立ち上がり😡

「こら❗️イテまうぞ❗️竜巻頭❗️」と怒鳴った!

するとこのボサボサ頭の男性はモクロミに手をかざし、

大声でご真言を唱えた。

モクロミはあ然としたが、

急に頭を抱えて倒れ、

もがき苦しんだ!

バスの乗客は悲鳴を上げた🙀

モクロミが気絶すると、

ボサボサ頭の中年男性は10円を料金箱に入れて、

バスを降りた。


運転手や乗客がモクロミを介抱すると、

モクロミはすぐに気がついて起き上がり、

ボサボサ頭の中年男性を追いかけた!

そして追いつくと、

中年男性の前に土下座して、

「あなたがお唱えしたことで私の心は洗われ、治ることのない持病の頭痛が治りました。それであなた様の名をお聞かせください」と言うと、

ボサボサ頭の中年男性は「有光(うこう)」とぽつりと言った。

モクロミは涙を流して、

「私は不幸でした。いつも不満と怒りの毎日を送ってました。有光(うこう)様。私をお弟子にしてください!」と言って頭を伏せた。

有光は小声で、

「お前のよいと思うことをいたせ」と言うと、

モクロミは着ている服を裂いて、

「もし私が有光様に背を向けるのなら神々がこのモクロミを大きく罰してくださいますように❗️」と叫んだ!

この光景をずっと見ていた乗客はみんなバスから降りて、

有光に「従います!」と言い、

有光の弟子になった。

後で、

このバスの運転手まで、

会社を辞めて有光に従った。


有光は道場のようなところにみんなを連れて行った。

そこには、

以下のものがお祀りされていた。



この道場には次第に人が集まった。

そして、

有光(うこう)の一番弟子となったモクロミが、

道場長になった。

有光とモクロミは、

[献金リレーは現金よ]というスローガンを立てて、

集った者達は多くの献金をすることで、

有光はたくさんの資産を得ることになった。


ある夜。


有光(うこう)とモクロミは、

誰もいない道場で酒を飲み交わした。

有光は、

「あの街でバスに乗ってお前との二人芝居はたくさんのゼニをもたらした。これは劇団四季のギャラをも上回る」と言うと、

モクロミも、

「レザンコンペトン(フランス語でおばかさんの意)な奴らよ」と言った。


そのとき、

風が吹き始め、

次第に強くなった。

そして、

三味線の音色とともに、

般若の面を被った和服姿の男が下駄を履いたまま道場に上がり込んだ。

腰には、

おもちゃの刀が差し込まれていた。



般若の面を被った男は、

三味線の音色とともに、

「ミツエは胸に違和感を感じた。タカシの指が乳を揉んでいたことに気づいたミツエはいけないことよと呟きながらも本心はもっと揉むのよ喘ぎまくった」と、

弾き語り風に語りながら有光(うこう)とモクロミに近づいて来た。

モクロミはあ然としつつ、

「誰や⁉️おんどれ⁉️」と凄んだ!

般若は静かな口調で、

「沢尻エリカの白いブラウス」と言った。

有光とモクロミが訝しげに顔を見合わせると、

般若は、

「またの名を、動作不良のプレステスリー」と答え、

懐から鞭を取り出して、

「実体は、般若の面を被った男❗️」と叫んで、

有光を鞭で叩いた❗️

モクロミは、

「アニすっだーッ!!」と叫び、

般若に突進したが、

逆に般若に三味線で頭を叩かれて気絶した。

般若は有光(うこう)に、

「奴らが来る。腰に長い物と飛び出す物を持った奴らが来る」と言って、

歩き去った。

同時に多くの警察官が入って来た。


有光(うこう)とモクロミは、

詐欺容疑で捕まった。


このバスから始まる一件の宗教詐欺で明らかとなったのは、

バスの乗客が有光(うこう)について行った訳やけど、

ひとりだけバスに引き返した人物がいた。

それは、

しのぶの高校の教頭先生やった。

そして教頭先生は言う。

「一番恐ろしいのは、これで永遠の幸せを手に入れたという錯覚なのです」、と。