それでも桜は咲いた春の日差し降り注ぎ、小鳥はうれしげにさえずり、そよ風がやさしく吹きつけて、申し分無き季節の恩寵に囲まれた。なのに、人の日常は、疑心暗鬼の凍えた日々に明け暮れる。乱心梅乃助は言う。桜の花々を見て。「誰も振り向いてくれない、悲しげな少女たち」と。そして、清酒黄桜を手酌して一人宴会。そんな乱心梅乃助を見ていた花愛好ジジイのミヤザキは、「人間コロナが!」と罵った。