東海道四谷怪談 | シネマ大好き!

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今まで観た映画の感想です。

★★★+

鑑賞No:01830
製作:1959年/日本/76分
監督:中川信夫
出演:天知茂/若杉嘉津子/江見俊太郎/池内淳子


備前岡山。浪人民谷伊右衛門は、お岩との仲をひきさかれたのを恨みに思い、その父四谷左門と、彼の友人佐藤彦兵衛を殺してしまう。これを目撃した仲間直助は、弱味につけこんで伊右衛門を脅迫するようになった。そして左門・彦兵衛殺しを他人の仕業に偽装し、あだ討ちと称してお岩と妹のお袖、お袖の許婚・与茂七らと江戸に向かうが・・・・。


有名な鶴屋南北の「東海道四谷怪談」の映画化。お岩さんの怪談話は昔から知っているが、きちんと映像化されたものを観たのはこれが初めて。「お岩さん=顔が醜くはれ上がった=怖い」というイメージの強い四谷怪談だが、映画を観ていると哀れで可哀想な女性であり、逆に天知茂演じる伊右衛門の残酷さに憤りを感じる。しかしその伊右衛門も真からの悪人ではなく、根は弱気で小心者ゆえの行為だけにどこかやるせない気持ちが残る内容である。50年以上前の映画だが、CGや特殊効果でのみ怖がらせる映画とは異なり、人間の内面の恐ろしさから恐怖を感じさせる、本当の意味での怪談映画。