★★★★
鑑賞No:02372
製作:2011年/日本/145分
監督:犬童一心/樋口真嗣
出演:野村萬斎/榮倉奈々/成宮寛貴/佐藤浩市
天下統一を目前に控えた豊臣秀吉は、最後の敵・北条家を攻めるに当たり、その支城・忍城の攻略を寵臣・石田三成に命じた。“のぼう様(でくのぼうの意)”と領民から慕われる城代・成田長親は、小田原城に援軍として行っている城主で従兄の成田氏長の、開城の命を覆し、三成軍2万の大軍をわずか500人の兵で対抗することに・・・・。
戦国時代の実話を基にした和田竜のオリジナル脚本の映画化。でくのぼうの意で“のぼう様”と領民から慕われている主人公の成田長親だが、呼び名の通り、武芸はまったくだめで、さらにちょっと頭の弱そうなのんびり者。こんな男が籠城した城の城代としてわずか500の兵で2万の大軍を迎え撃って撃退するという話だから、歴史ファンならずとも興奮するストーリーである。ただ、どんな戦略で?と大きな期待が膨らむが、前半はのぼう様の活躍の場は無い。あるとすれば、希代の人心掌握術で、領民や兵の戦意を高めたことだが、緒戦の勝利も部下の家老たちの活躍によるもので、のぼう様の活躍はない。そんなのぼう様の見せ場は命がけの船上での田楽踊りと、開城の際の敵将・石田三成とのやりとりだろう。田楽踊りは、狂言師・野村萬斎の面目躍如ともいえる見事な踊りで、敵味方を一体にさせている。水攻めシーンはCGを使って迫力を出そうとしたみたいだが、ちょっとやりすぎのようでリアル感がなかった。逆に時期的に当初の公開時期が東日本大震災と重なり、津波を想像させるとして公開時期が延期になったらしいが、あの映像では致し方ないか。