アパレル業界が大きく勘違いしていることがあります。

 

 売上が上がらない、だからもっと顧客を見て、マーケティングを強化しよう、というものです。

さらに、ハイテクを使った「需要予測」などという言葉が氾濫。しかし、経験の長い方は思い出してみてください。こんな議論は30年前からやっていた。当時の言葉を借りれば、「プロダクトアウトからマーケットインへ」、「作ってから売るのでなく、売ってから作る」。

 

 そして、将来のことなどわからないだから在庫回転率を上げて商品投入を細かく刻み、マーチャンダイジングの5適(誰に、何を、いくらで、いつ、どこで)売るのかを最適化する。マーチャンダイジングの精度はQR (Quick Response)によって強化され、業界全体が売れ筋を追求し、消費者が必要以上の商品が世に出回り、結局は「商品ABC」が「クーポン配り競争」になってきたというわけです。

 

 現在、世で言われている「AIをつかった需要予測」(??????)

 

 この精度が例え人知を超えたレベルに高まったとして、何が変わるのでしょうか?

例えば、私が欲しい商品が「A」だったとする。しかし、私は「A」を一つしか欲しくないのに、5つの企業が「A」をつくるため、私の目の前に「A」が5つもできあがるわけです。そうなれば、「需要予測」は的中しても、4つ在庫は残る。結局、この問題は、「個別企業」が単独でおこなっても何も解決しない。産業界全体で適正数量を分配するような社会主義的動きをしなければ、30年前のQRがオートマティックになっただけとなるわけです。

 

 昔、誰かがいいました。「企業の欠品は売上の35%もある。だから、欠品を撲滅すれば売上は35%あがる」と。

今でも、この「屁理屈」を盲信し、一生懸命ものを作り続けている。ユニクロなどのように圧倒的なコスパを達成している、あるいは、無印良品のように他とは明らかに異なる独自の世界観をもっている企業であれば別ですが、その他90%以上の日本のアパレルは違いなどない。すくなくとも、競争は「均衡」しているわけだから、誰かが売上を逸失すれば、他の誰かが奪うだけなのです。

 

 つまり「個社」が35%の欠品をおこなっても、競合他社がすぐに、その35%を奪い取る。世の中の総供給量は30%が供給過多だからです。

 

 このような初期的、かつ、基本的な考察、分析をすれば、供給過多の世の中で売上を上げる方法は、顧客のニーズに応えることでなく、競合から顧客を奪うことでしょう。顧客のニーズにいくら答えても、同じレベルのサービスは競合も当然やっていますから、自社がマーケティングを強化しても、そんな話は競争優位に立つための必要条件ではない「当たり前の話」なのです。やらなければ大負けするが、やっても勝てない。ここをよく理解すべきでしょう。

 

 今、企業がやらねばならないのは、想定競合から顧客を奪う、たとえば、M&Aなどで取り込むなどです。私であれば、マーケなどより、想定顧客奪取先をリスト化し、徹底して脇の甘い競合企業をターゲットにし、そこから客を奪う戦略をつくるでしょう。ひょっとしたら、みなさんの企業も、どこかの標的になっている可能性があるかもしれません。

 

 売上低迷と低成長をハイテクツールの「マーケティング・ツール」に頼る今の風潮は全くの的外れであるということです