CPAという考え方があります。分子は広告宣伝費の総額、分母はその広告によって購買した(新規の)顧客数となります。

 

 これは、広告宣伝費などをつかって一般消費者に広告を打ち、何人かがその広告をみて反応し購買を行う。企業は、新規に購買が発生した顧客をデータベース化し、データベースの中に貯められた顧客に対し、あらゆる方法をつかって顧客に商品を再販売しその顧客が商品に使うトータルの支出のシェアを高めて行く(Life time value生涯価値を高める)というストック型ビジネス手法です。みなさんも、一度購買したら、山のように宣伝のメールがくる(楽天など)ことを思い出せば、「ああ、あのことか」と分かるはずです。

 

 基本的に、どれだけ広告宣伝費をつかっても、LTVの総額がCPAを上回っていれば、企業が論理的に成長して行きます。当たり前ですね。低コストで新規の顧客をバケツの中に入れ、そのバケツの中の顧客は、獲得にかかった費用以上にお金をつかってくれるのですから。

 

 従って、企業はLTVをできるだけ大きくすること(アップセル、クロスセル)と、CPAをできるだけ小さくすることを努力すればよいわけです。これが、ストックビジネスの基本的な考え方です。ここまではお勉強の世界です。

 

 しかし、このCPAが全く小さくならない。現実には、小さくならないどころか、どんどん大きくなっているのです。(大きくなるというのは、いくら広告を打っても消費者は購買しないということです)理由は簡単で、我々の周りには広告だらけ、広告公害に陥っているからです。Appleの新しいブラウザーは、追跡する広告を消す機能さえ持ち出しました。もう、私たちにとって広告は邪魔でしかないのです。

 

 さて、話は変わります。

 

 AmazonプライムやZOZO SUITなど、特大サービスともいえる出血大サービスをネットガリバー達はやっています。普通の感覚からいえば「あんなことをやったら大赤字じゃないのか」と感じるのですが、これをCPAと考えればどうでしょう。例えば、ZOZOSUITなどは、誰も噂のPBを見たことも、買ったことも、着たこともないのに、すでに20万着以上の発注がきているそうです。また、Amazonプライムなどは「こりゃお得だ」ということで、凄い勢いで顧客数を増やしていますね。一見これだけみれば、「出血大サービス」に見えますが、これを「顧客獲得コスト」と考えれば合点がゆきます。例えば、私の生活の中でAmazonの占める割合は恐ろしく増えています(LTVが増加している)。従って、一度プライム会員にはいっても、Amazonシェアが増えれば回収できるのです。

 

 CPAというと、一般論しか書かれていない教科書には「広告によって」としか書かれていませんから、ダメコンサルは「SNSだ」とか「インフルエンサーだ」など、適当なことをいっていますが、しかし、そんなものでCPA効率が上がるはずありません。CPAの本来の意味は「顧客をデータベースの中に放り込むこと」です。その目的のためなら別に広告でなくともよいのです。ぜひCPAをググってみてください。どれをみても「広告」としか書かれていません。全くおかしな話です。日本人は「本質的な考え方」を追いかけることをすぐに諦めて、公式を暗記することが得意です。なんでもいいから単純にいってくれ、というのが我々の多くのメンタリティーなのです。しかし、こうした表面的な暗記の理解というのは、特に昨今のように競争環境が大きく変わっている時代では、極めて危険なのです。

 

 しかし、本来的な意味合いを追いかければ、「出血大サービス」に見える施策も、実は、ネットビジネスの場合、顧客をストックしているCPAであるという見方も可能です。環境が変わっても本質は変わらないからです。

 

 ネットビジネスは、勝利の方程式がまだまだ一般化されておらず、こうした技を駆使した企業が、気づかない企業に大きな差を付けているのかもしれません。広告公害の中で目立つ方法は、ビジネスそのものをあたかも広告のように使うこと、なのです。我々は「昔の常識」を捨てることから始めなければなりません。

 

 最近部下が「参考文献を教えてくれ」といってきたので、「そんなものはない、自分頭で考えろ」といいました。何でも書物を読んで覚えるという(学生)癖を捨てない限り、ビジネスでは敗者になる可能性が高いと私は思います。