ロビン・トロワーにインスパイアされたGプレイが魅力のカナダ産パワートリオ /ファブル | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

FABLEはカナダで結成されたVo兼G、Vo兼Ds、そしてBsの三人から成るパワートリオで、これから紹介するアルバムは74年に制作されながら2000年代になって初めてCD化されたもの。自主制作盤なるが故にオリジナル盤におけるプレス数は限定されると思われるが、自身は同好仲間からの情報でロビン・トロワーの放つGサウンドに限りなく近いといった事を先に聞かされていた事から、流通すると同時に直ぐ購入に及んだ。

その内容は初期(73年~75年)R・トロワー・バンドと共通するトリオ編成であるが故に、そのサウンドも酷似したものとなっており、Gがワウワウやトレモロをふんだんに取り入れて全編に渡って弾き倒したもの。もちろん各楽曲もロビンやジミヘンにインスパイアされたと直ぐ判るもので、R&Bをベースにしたグルーヴ感溢れるサウンド展開となっており、異なる部分は歌メロを含めた楽曲におけるクォリティーの違いと、ロック・ヴォーカリストとしては当時でもベスト5内に入る、上手過ぎるジム・デュワーとは比較するまでもないVoの違いだけ。もちろん荒々しいヘビィ・ディストーション音で迫るGにおける技量はロビンと同等に近く、アグレッシヴに迫るG・フレーズやリフも然り、G・アレンジまで影響を受けている事が判るが、個人的にはよくぞここまで大好きなロビンをリスペクトしてくれたと称賛するしかないと言った処。

ただ少しダメ出しをするのであればどの楽曲も似たり寄ったりで、どこを切り取っても金太郎飴と映る部分。これだけで当時におけるロビンとジムのコンポーザーとしての能力が如何に優れていたかも判るが、素直に初期ロビン・トロワーが好きと言ったハードロック・リスナーの方々にとっては、自身と同様間違いなく楽しめる筈。

 

          74年アルバム

 

このアルバムが今でも容易く入手可能か否かは判らずにいるのですが、再発されているのでしたら通販でも充分購入出来ると思えます。74年における自主制作盤にしては録音バランスも良いし、全体的にクリアーな録音は間違いなく誇れるし、先に述べた理由からジミヘンやロビン・ファンの方なら充分納得して聴いて頂けるのではないでしょうか。個人的にはハードロック・リスナーの方々には文句なくお薦め出来ると思えた一枚です。