ジャズ・テイストに富んだ豪州産サイケハード /タマム・シャッド | ハードロックは我が人生そのもの

ハードロックは我が人生そのもの

70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

TAMAM SHUDはオーストラリアで結成されたVo兼G、G、Bs、Dsの四人から成るバンドで、アルバムは69年にデビュー作が、そして70年に2ndアルバムがリリースされたが、日本ではリアルタイムでのリリースはなかった筈。所謂日本では限りなく無名に近いバンドの一つで、それが故にオリジナル盤は今となってはレアに近いアルバムと言えるが、自身は2000年代に流通し始めた初発?CDを友人の勧めで購入して今に至ったもの。

今回はサイケよりビート・ロックに近いと思えた1stアルバムは自身の好みで避けて通るが、明らかにサイケを昇華しながらハードロックに一歩足を踏み入れたサウンドと思えた2ndアルバムを紹介。

その内容は時にはシャウトもする中低域重視でマイルドに歌うVoを中心として、スター・プレイヤーを必要としないバンド・アンサンブルで勝負したもので、それが故にメンバー全員に自己主張の場は与えられているが、時にはツインGでソロを取り合ったり、的を得た速弾きソロを放ったりと、ブルージーなGワークを特長としたG奏者の活躍が光るもの。それに相反してリズム隊は手数の多いDsを筆頭に、ジャズ志向の強いプレイを特長としているが、その中にあっても弾みながらもよく歌うBsラインを特長としたBsが特にカッコイイ。それもあってか歌メロもR&Bをベースにしたキャッチーなものではなく、ジャズ・テイストに富んだもの。もちろんこれがバンドにおける独自性といった事になるが、全体的にそのサウンドを捉えれば、ジャズ・テイストに富んだサイケデリック・ハードロックといった事になるのではないだろうか。

 

          70年2nd

 

このアルバムはかつて2イン1といった形の1st及び2ndがセットになったカップリングCDが流通していた事から、CDに限れば単体で既に再発されているのかもしれないし、今でも容易く入手出来る様な気がします。70年に録音されたサイケ・ロックにしては、珍しいほどGにおける録音が奥に引っ込んでおり、それが故に華やかさに欠け比較的地味に映るアルバムなのですが、それを独自性として捉えるのであれば充分お薦め出来る様な気がします。ここで初めてバンド名を耳にされた方は、是非一度YOUチューブでサウンドを確認される事をお勧めします。