ツインGによるエッジの効いたハードなサウンドは哀愁を帯びたサザーンロック /ブラックフット | ハードロックは我が人生そのもの

ハードロックは我が人生そのもの

70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

BLACKFOOTはVo兼Gのリック・メドロックとBs奏者の二人を中心としてアメリカで結成された、他にG、Bs、Dsが加わった四人編成のバンド。アルバムは70年代に限れば75年のデビュー作を皮切りに79年まで3枚のアルバムを残したが、80年代初頭にはあろうことか、ブリティッシュ・ハードロック・シーンにおけるオルガニストとして、J・ロードと並んで確固たる地位を築いていた元U・ヒープのケン・ヘンズレイまで迎えてバンドは存続した。残念ながらK・ヘンズレイは既に故人となってしまったが、2000年代の再結成時におけるオリジナル・メンバーはBs奏者のみか?

彼らのサウンドにおける根底にあるものはレーナード・スキナードやオールマン・ブラザーズと同じ土俵にあるブルース・ロックで、キャッチーな歌メロを特長とした、ハード・ドライヴィングなサザーン(アメリカ南部地域)・ロックが全編に渡って展開されるもの。自ずとそのサウンドはカントリー要素まで取り入れた事によって若干泥臭く映るものとなっているが、哀愁を帯びたブルージーな楽曲の数々はサザーン・ロックならではの味わい深いもの。

この三枚のアルバムはサザーン・ロックといった一貫したサウンドなるが故に、アップ・テンポのブギー調の曲が多く並び、どこを切り取っても金太郎飴的に映る楽曲構成や、楽曲個々があまり変わり映えしないのが難点とも言えるが、今回特に紹介するアルバムは、その中にあっても自身が彼らの最高傑作と位置付けている、Gのクリアートーンによるアルペジオや、ツインGによるハモリがサウンドに満遍なく活かされた、捨て曲が少なくバラエティーに富んだ楽曲における完成度が高いと眼に映った79年3rdアルバム。その中にあっても「ハイウェイ・ソング」は彼らの本質が具現化された曲で、Gのアルペジオによる伴奏から徐々に盛り上がりながら、メロディアスなハモリを加えたGソロで終わると言った、様式美まで感じさせてくれるもので、フリーのカバー曲「ウィッシング・ウェル」と並んで特に輝いている。全体的にはスター・プレイヤーを必要としない、歌を聴かせるバンド・アンサンブルで勝負したバンドなるが故に、そのまとまり感は半端ないもの。このアルバムがリリースされる前年の78年には、ハードロック・シーンに新たな旋風を巻き起こした、ヴァン・ヘイレンによるG革命も同時に成されたが、それによってGサウンドもよりテクニカル(ライトハンド奏法)になり、70年初頭から続いたハードロックといった言葉は徐々に衰退して行き、最終的にヘビィメタル(HM)・ロックといったものにすり替えられていったが、その時代を反映してかサウンド作りにおける主役とも言えるG奏者の個性は失われ、エッジを効かせたメタリックなGサウンドばかりが目立つ録音となってしまい、それに合わせてバンドにおける独自性まで失われて行ったのが一番残念と感じる部分。ただ録音機器の進化に併せてより音の分離や解像度が高くなったのだけは大満足。

 

    76年2nd 79年3rd

 

ちなみに76年の2ndアルバムにおけるクオリティーは3rdアルバム同様高く、その内容も甲乙付け難いのですが、前者は先に触れた様にあまり変わり映えしない楽曲構成が少し残念と言ったところです。個人的にはその若干B級の臭いがする2ndアルバムの方が好みなのですが、曲の完成度の高さから今回は特に3rdアルバムを推した次第です。結果的には二枚共文句なくお薦め出来るアルバムという事になるのですが、哀愁を帯びたサザーン・ロックが好き、あるいは兄弟バンドとも言えるレーナード・スキナードが好きと言った方々には是非お薦め出来ると思えました。