プログレ志向が強くソリッド感溢れるヘビィ・サウンドが特長のハードロック・トリオ /シルバーバート | ハードロックは我が人生そのもの

ハードロックは我が人生そのもの

70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

SILBERBARTはドイツで結成されたVo/G、Ds、Bsの三人から成るパワー・トリオで、70年代当時あれだけロック喫茶に入り浸りながら、一度もジャケットやそのサウンドに触れる事が叶わなかったバンドの一つ。自身は同好仲間の紹介で2000年代になって初めてバンド名を知り得て直ぐ初発CDを購入したが、恐らく当時は輸入盤入手も困難だったと思われる、今となっては激レアとも想像が付く一枚。仮に自身店頭で目に留まったとしても、キューピーさんがあしらわれた様なカバーアートは、そのダサさから絶対に衝動買いの対象とはならないアルバム。これから紹介するアルバムは彼らが唯一残した71年にリリースされたもの。

その内容はGが縦横無尽に暴れまくるもので、特別な技量がある訳ではないものの、Gソロにしてもリフにしても更に放つフレーズにしても、独自の感性から放たれた少し変態チックといえるもの。時折ギターから発せられる弦をこすったり引っ搔いたりする効果音がサウンドにスペイシーさをもたらせており、それが故にプログレッシヴとも言えるが、Kbが不在なだけでヘビィ・サウンドを売りにした、少し屈折気味とも映る独自性に富んだサウンド。Gを兼任したVoもハードロックに向いた声質で、ドイツ語による発音が少し違和感が残るものの、楽曲によっては裏声まで披露しており、意外にも技量達者な上にアグレッシブ。

リズム隊はトリオ編成の弱点となる薄くなりがちのサウンドに厚みを持たせたり、下支えするといった事では、音数が多くよく動き回るBsを筆頭に、ヘビィ・サウンドを一手に引き受けた感のするもの。特にDsはハードロック然としたバスドラを存分に効かせた重くタイトなDsサウンド

このアルバムにおいて自身が特に優れていると感じられた部分は、個性溢れる凝った楽曲の数々で、ドラマティックに展開される曲や、アップテンポなものからミドルテンポの曲に至るまで、歌メロは妙にキャッチーで何故か少しオリエンタル、それが故に何度聴いても飽きを来させないのが魅力。取り合えず自身の眼には間違いなくB級バンドによる傑作と映ったが、結果的には三人のメンバーで演りたい事だけをやればそれで由といった、ビジネスを無視したある意味で潔さの感じられるアルバムで、それが自身としては非常に好感が持てた部分。

 

          71年アルバム 

 

知名度は同じドイツ出身のパワートリオにあっても、三枚ものアルバムをリリースしたジェロニモより遥かに劣るのですが、B級の良さを知るハードロック・リスナーの方々の期待を裏切る様な事はまずない!と思えました。その内容は先に触れた様にプログレ・テイストを含んだ独自性に富んだヘビィなハードロックなのですが、現在このCDが容易く入手可能か否かまでは分からないでいます。ここでこのバンド名を初めて耳にされた方は、是非一度YOUチューブでサウンドを確認される事をお勧めしますが、プログレ・ハードが好きと言った方々にも文句なくお薦め出来る一枚です。