アコースティカルな部分とヘビィな部分が見事に融合した独自性のある米国産ハードロック /ロード | ハードロックは我が人生そのもの

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70年代のハードロックはバンドによる個性もあって、独特なサウンドを創り出しています。その中で特に印象に残ったバンド、あるいはこれだけは是非聴いて欲しいと思えたアルバムを、これから随時紹介していきたいと思います。

ROADはジミヘンの活躍に欠かせなかった初期メンバー、Vo兼Bs/ノエル・レディングと元レアー・アースのVo兼G/ロッド・リチャーズ、その後ストレイ・ドッグで活躍したDs/レスリー・サンプソンの三人で結成されたハードロック・トリオ。これから紹介するアルバムは彼らが72年に唯一残したアルバムで、自身はノエルがBsとして参加したといっただけで直ぐ輸入LPを購入した一人、もちろん90年代になって流通し始めた初発CDも迷わず購入したが。

そのサウンドはトリオ編成であるが故に三人のメンバーの火花散る演奏が聴けるが、その重量感溢れるリズム隊にあっては、ノエルの硬質で太いBs音は音数が多く、その存在感は抜群。特に凄いのが手数の多さを特長とするグルーヴ感に富んだDsで、その技量もさることながらこの時点で既に只者とは思えないノリの良さ、その凄腕は解散後に参加したストレイ・ドッグでも遺憾なく発揮されたが、何よりボトムの効いたDsサウンド自体が素晴らしい。メンバー三人の中にあってはGが引っ込み思案で今一つ弱く感じられるが、終始ワウを多用したバッキングはスペイシーな上に浮遊的で充分個性的ではある。何故だか分からないが、このバンドのサウンドに妙にマッチしているから不思議。これもオリジナリティの一つという事になるが、キャッチーで個性的なヘビィ・リフやGソロはもっと欲しかったところ。ただバラエティに富んだ楽曲は全てカッコ良く秀逸で、それに捨て曲が全くないのもリスナーにとっては値打ちで魅力の一つ。もちろんハードロックとしての重量感も疾走感も間違いなく文句なし!Voはノエルが歌っている部分だけ線が細く感じられるが、歌メロの良さも相俟ってこれも味と思えば納得のいく処。

全体的にはアコースティカルな軽い部分と、ヘビィ且つハードな部分のさじ加減が抜群とも言えるサウンドで、これは70年代初頭にはなかった唯一無二の音。個人的には大好きなアルバムの一つで、70年代ハードロックの名盤の一つに加えても決しておかしくないと思われた一枚。

 

          72年アルバム 

 

このアルバムは当時カット・アウト盤といった、バーゲン対象のLPが数多く出回っていた事からすれば、今となっても比較的求め易い価格で取引されていると思えるのですが、再発CDに限れば通販で容易く入手可能な気がします。個性溢れる凄腕職人が三人集まったが故の、オリジナリティに富んだサウンドは、個人的には是非聴いて頂きたいアルバムの一つで、ハードロック・リスナーの方々には文句なくお薦め出来ると思えました。ここで初めてこのバンド名を耳にする方は、YOUチューブでも音源は拾えると思えますので、一度聴いてから購入されても決して遅くはないと思えます。