唐突ですが、三浦大知くんのnewアルバム『OVER』に収録されている「Sheep」の話をさせてください。
初めて聴いたのは去年の10月に行ったOVERツアー。
(その時の感想はこちら。これ書いてから1ヶ月ちょいくらい、おそらくこれまでの人生で一番YouTube観てました。)
最初の〈眠ろう〉の「ねー」が「めー」にしか聴こえなくて、羊が啼いたかと思いました。
とにかくずっと高音ですごいなというのが第一印象でした。
そして11月に先行配信。
綺麗なハイトーンボイスと雨だれみたいなピアノが心地良いんだけど、どことなく不穏さを内包しているような、だけどすごく優しくて落ち着く歌だなぁと思いました。
そしてMV公開。
MVというか最早、1本のショートフィルムみたいですよね。
最初見た時は「え!?えーと、2番で朝なんじゃなくてずっと夢の中なの!?最後にようやく目覚めるの!?私この曲のことさっぱり分からないよ」と一人で勝手に大混乱しました(苦笑)
ていうかお布団と踊ってるし。白が似合うし。なにより最後目覚める時の、瞳のアップが綺麗すぎます。
そしてついに今年の2月に『OVER』発売。
発売から数日後に、Xで『OVER』の曲をお酒に例えてるポストを見かけて
ものっすごく納得したのです。
なんというか、アルバム聴きながらずっとふわふわしてる感覚があって、私、それこそ“酔っ払ってた”んだなぁ、と思いました。
味わうにはあまりに濃くて口当たり良くて。
で、その時思ったのです。
「Sheep、お前も酒だったのか···」と。
ずっと「なにがかわからんけど、よくわかんないな」と思ってた部分が、腑に落ちた瞬間でした。
【酒である】ということを踏まえてこの曲について考えると
単体で聴くと、ほんのちょっとブランデー入れたホットミルクみたいな感じなんですよ。
安眠効果すごい。でもけして単なるホットミルクではない。
ただ、アルバムの中の1曲になると、急にアルコールの牛乳割りみたいな印象なんですよ。
ホットじゃなくてアイスなの。あとアルコールの割合が増える気がする。
お酒さっぱり詳しくないんですが、「ブランデー·ミルク·パンチ」とか、そんな感じでしょうか。
(カクテル辞典でイメージに合うのを探しました。)
MVもまた独立した世界観があって、微妙に重ならないんですよね。「ゴールデン·ドリーム」とか?(名前に引っ張られてるだけかもしれん···)
お酒繋がりでちょっと脱線します。
大知くんがいろんなインタビューで「三浦大知というプラットフォームで遊んでもらえたら」と話していましたが
ふと、大知くんって、でっかい飲料メーカーみたいだなぁというイメージが浮かびました。
ジュースも紅茶もなんでもござれで、バリスタとしても一流だけど、本職は絶対、杜氏かバーテンダーだと思うんだ。(いや、歌って踊る人だよ。)
この喩え、自画自賛したい一方でまだちょっとふんわりしてるんですよね。
せっかくなので歌詞の話もさせてください。
〈掛け布団みたく蹴り飛ばすよ〉という比喩がとても好きです。
最初聴いた時、お父さんだなぁ〜と思ったんですけど、インスタの文章からすると、蹴り飛ばしてるのは大知くん本人なのかな。
〈分からないけど〉という前置きと、最後の〈かもな〉に精一杯の誠実さが現れてる気がして好きです。
〈分からないけど〉のあと、
【が】と【も】の使い方上手すぎでしょ。
どっちも【が】、または【も】でも
はたまた1番が【も】で2番が【が】でも
意味としては全く問題ないけど
ニュアンスが微妙に違ってくるんですよね。
この絶妙さを国語的に説明したかったんだけど、私には無理でした。
(説明する必要はないんだけど、私はそういう話が好きなんですよ。)
あと、個人的には
1番で〈怖くないのかもな〉と歌っておきながら
2番で〈怖くなるのかもな〉なの、よく考えたらすごいな?と思いました。
曲全体で考えたら、「怖くなる」から「怖くない」に変化する方が自然な気がするというか。
だけど、1番が夜で2番が朝だからこれでいいんだろうなとも思うし
だからこそ最後の〈「眠れなくても〜」〉がより意味を持つというか。
それから
〈怖くなるのかもな〉に続くのが〈”きっと今日は“〉なのも
実はちょっと不思議な気がしてたんです。
”だけど“とかじゃなく”きっと“なんだなぁ、って。
先日たまたまXで
「(きっと)という言葉は良いことにとても合う」というポストを見かけて
なんか、そういうことかなぁと思いました。
歌詞カード見ると、この曲は2種類の記号が出てくるんですよね。
1つは
〈”きっと明日は“
そんな夜繰り返して〉
の部分。
もう1つは
〈「眠れなくても〜ここにいるから。」〉
の部分。
これは多分
“きっと明日は”は自己暗示で
「眠れなくても〜。」は他者からの言葉
ということなのかなぁと思いました。
“他者”が、羊みたいなお布団なのか、大知くんなのか、はたまた自分の中の自分なのかは、人それぞれ、といったところでしょうか。
長くなりましたね。ここまでお付き合いありがとうございました。