今回、日本滞在時、

北村英治のステージは、可能な限り行くつもりであった。

ひと月に1~2回、ステージに上がる。

行けるチャンスは3回。

 

最後の演奏を聴いたのは2019年なので、

3年超ぶりの再会である。

御年93歳なので、今後多くのステージを期待することはできまい。

何としても、可能な限り、直に接したかった。

 

3回の内、一度は、大阪へお通夜に行くことになり、

もう一日は、iPhoneを購入した日で、初期不良かと思い、

その対応が遅くまで掛かってしまった。

結局行けたのは、9月の最終のチャンスに限られてしまった。

 

7時から演奏開始。

既にクラブのメンバーではなく、席の予約はできないため、

開始時間に合わせて到着。

丁度、1曲目が始まったところ。

 

「ビジター一人、席は空いていますか」

と問うと

「随分お久しぶりです、〇〇さん?でいらっしゃいますか」

おっ魂消た。

マスクはしているし、長髪で風貌も大きく変わっているにもかかわらず、

私のことを覚えていてくれたのだ。

気分上々のスタート。

 

北村英治さん、93歳で元気いっぱい。

平均70歳代の若いプレーヤー(?)に支えられながら、1時間のステージを2回。

演奏した曲は、全て馴染みのものであった。

演奏の技術など関係ない、北村英治さんの存在そのものが全てである。

 

娘が小・中学生のころ、店の了解を得て何度も連れてきた。

本物の、生の演奏に接するために。

そのころを、ふと思い出してしまった。

その娘は、10年ほど前、

北村英治さんが、イギリスのジャズ専門誌の表紙を飾った時、

購入して、私に送って来てくれた。

それを持って、北村さんの演奏の合間、

「娘が小・中学生の時、北村さんのステージに何度も連れてきた、

 北村さんのことを覚えていて、このジャズ誌をイギリスから送って来てくれたよ」

と、お話したら、涙を流さんばかりに喜んでくれたのが、

昨日のように感じる。

 

メンバーでもない私が座った席は、

お客さんの笑顔が手に取るようにわかるところであった。

言い換えれば、北村さんをはじめとするプレーヤーを、背中から見渡すところ。

 

お客さんのほとんどは、私より年配だ。

皆年を取り、寂しく?生きていながらも、

93歳で、今なおクラリネットを吹いて、人生を楽しんでいる北村さんの演奏に接し、

「俺たちも、まだ頑張らないとな」

と、元気づけられに来ているのではないか・・・

と感じた。

 

私も、そのうちの一人だからな。