国家一般職の教養論文「食育」について | 受験生の知らない公務員試験の裏のウラ

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6月12日に実施された国家一般職で出題された教養論文の問題文(再現)です。
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 平成26年(2014年)度に行われた全国の20歳以上の男女を対象とした意識調査によれば,健康のための食生活に関する意識や,健康や栄養に配慮した食生活の実践などの点で,20歳代~30歳代を中心とした若い世代では,40歳以上の世代よりも課題があるとされている。
 国民が健全な心身を培い,豊かな人間性を育むために,食育は極めて重要である。食育は,生きる上の基本であって,知育,徳育,体育の基礎となるべきものと位置付けられるとともに,様々な経験を通じて,「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し,健全な食生活を実践することができる人間を育てるものとして,その推進が求められている。
 このような状況に関して,以下の問いに答えなさい。

(1)20歳代~30歳代を中心とした若い世代の現在の食生活について,具体的にどのような問題や課題があると考えられるか。あなたの考えを述べなさい。

(2)若い世代が食育に興味や関心を持つようになるための施策について,あなたの考えを述べなさい。
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食育に関しては、2005年に食育基本法が成立し、翌2006年に第一次食育推進基本計画が策定されて以来、時事問題や教養論文で出題されています。ですから想定外の出題とは言えませんが、 この論点を予想していた方は少なかったのではないかと思います。

実は、食育基本法に基づいて2016年に策定された「第3次食育推進基本計画」の4ページ目に、本問題の出典とも思われる記述があります。

http://www8.cao.go.jp/syokuiku/about/plan/pdf/3kihonkeikaku.pdf

しかし、これを読んでいた人はごく少数でしょう。以前からブログで書いてきたように、教養論文においては、論点が当たった、外れたというレベルの議論していても、合格レベルの答案を書くことはできないのです。

まずは、政策課題に関する「基本的な知識の習得」と「問題文を正確に読み取るチカラ」を、今まで以上に重視してください。
(参考) 教養論文で最も得点に影響するのは「問題文の読み方」

この土台を決して軽んじることなく、「題意に沿った記述」を心がけることで、結果として合格レベルの答案が書けるのです。


では、今回の教養論文について具体的に検討していきましょう。
「問題文をよく読む」ということの重要性が改めてわかる問題です。

国家一般職教養論文再現2016

まず、問題文の第一段落。
「健康のための食生活に関する意識」「健康や栄養に配慮した食生活の実践」などの点で、「20歳代~30歳代を中心とした若い世代」で「課題がある」とされています(まさに受験されているみなさんの世代のことです)。
したがって、ここで「自分の世代でどんな課題があるのだろう?」と考え、思い浮かぶことを箇条書きにメモしておく必要があります。これはそのまま(1)の設問に対する答えになっていきます。

第二段落。
「だけど食育ってなんだっけ?」と戸惑った方もいると思いますが、その「食育」の定義は、この第二段落にしっかり書かれています。分析すると、定義の根幹は「生きる上の基本」という部分であり、その後にそれを具体化する2つ性質が「ともに」という連語で並立されています。
今回特に重要なのは定義後半部分にある、「様々な経験」という部分です。端的にはこれが(2)の問いである「施策」の答えを構成していきます。

つまりこの問題は、「若い世代の食生活」における「課題」を前提に、「食育の定義」に沿った「施策」の論述が求められているわけです。逆にいえば、この課題と定義から外れなければ、ある程度自由な意見を書いても大丈夫だということです。


次に、設問(1)(2)について見ましょう。

(1)について
「20歳代~30歳代を中心とした若い世代」とあり、「あなたの考えを述べなさい」とあります。したがって、若年層における一般的な問題点や課題のうち、個人的な体験を織り交ぜて書けるものを選択できれば、より説得力が増します。
また、20歳代~30歳代ですから、現代社会においては、大学生以上、男女とも独身、というあたりの層をイメージできれば間違いないと思います。ここで、高校生以下のいわゆる未成年が含まれていないことには注意が必要です。

(2)について
「施策」について、「あなたの考えを述べなさい」とある点ですが、こちらは、国家公務員試験である以上、個人的な考えを求めているとは考えられません。主論として「国家施策としてどうすべきか」というアプローチで書くことになります。
その上で、傍論・各論として、地方自治体でどうすべきか、また企業や家庭(個人)、学校などでどうすべきか、という観点を入れていくと、内容が膨らんで加点事由になると思います。
(参考)地方自治体の教養論文は、その特性を踏まえて書く


食育は、内閣府だけでなく、農林水産省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、総務省、外務省など、さまざなま省庁が関係していることからも分かるように、その問われ方にも複数のアプローチがあり得ます。
6月26日に実施される地方上級でも、教養論文ではないにせよ「食育」に関する出題もあり得ます。食育という政策自体に自信がない方は、今回の問題を利用して答案構成してみたり、国や受験先自治体のホームページを確認して知識を補充しておいてください。

内閣府ホームページ

東京都ホームページ

福島県ホームページ

大阪市ホームページ

今年の都庁Bの教養論文も、特別区の教養論文もそうでしたが、今後の教養論文においては、特定の論点ごとに暗記してそれを書くという対策は通用しなくなります。各政策課題についてしっかりと理解し、それらを横断的に構成する能力が求められています。

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