平坦な毎日に蟻達が列を作りよじ登る。
見慣れた住宅街
いつもと同じ道を同じ歩幅で同じ時間を歩く。

灼熱の太陽が蜃気楼を作りいつもの歩道を少し歪めた。

ヘッドフォンから流れる
聖者モドキの代弁者は、喉を枯らし歌う。
「日常を切り裂く、
純粋までな音楽を。」


口ずさむフレーズ。
ため息と一緒に吐き出せば、見ないふり知らないふり。
「大きくなったら何になりたい?」
幼い頃、繰り返し胸踊らせた未来予想。

歩幅のリズムで自問自答
目眩く想像の未来。
流す涙もからのから

感受性の高い人間はこの先の未来を見越して早々とこの世界から消えていくらしい。

音楽でこの世は救えなくなったと、ロックの神様も嘆きステージの上で首を吊った。

ならば、
とっくの昔に僕も生き絶えていればよかったのにまだ生きている。

まだ生きている。



宗教うたうリアリスト
科学を過信し四畳半
戦争反対死の商人
平和を愛するテロリスト
哲学浅瀬で省みず
雑談演説履き違え
純粋無垢なふりした少女
不純な大人の哀願奴隷
流行り小躍り長蛇の列に
廃りな服なお化け猫
生きる証明自殺未遂
死ねば称賛僕の夢
混濁してく生命線に
純粋までな音楽を。