ビオトープ観察会 at 和光市立アグリパーク、本町小学校(1)~ビオトープの可能性に瞠目! | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

ビオトープ観察会 at 和光市立アグリパーク、本町小学校(1)~ビオトープの可能性に瞠目!

最近の流行を背景に、和光市内にもビオトープがつくられています。

しかし、そのあり方が適当かどうか、また、今後どう管理し、役立てていくか、理解している人が少ないのが現実です。

今回、人と自然の研究所 の野口理佐子さん、ビオトープ管理士で、ビオトープの実務家として活躍してこられた三森典彰さんはじめ、スタッフの皆さんの解説と検証で、街づくりにどう役立てていくかというビジョンが具体的に見えてきました。

今回は、2回に分けて報告します。

まずは、ビオトープの概略について、人と自然の研究所のレジュメを引用しながらダイジェストします。


1.ビオトープとは何なのか

「ビオトープ(BIOTOP)とは、

BIO(生物)とTOP(空間)を合成した言葉で、『生物の生息・生育場所』を意味するドイツ語です。『生物群集が生存できる環境条件を備える地域』のことであり、生物がその中で餌を取り、休息をし、産卵するなど、生きていくことのできる空間です。」

ようは、生物によってビオトープは異なるということですね。

まとめると、

「① あるさまざまな生物たち」がいて、

「② その生存を保障する諸環境要素」がある

「③ その生物たちの生活史(生まれてから子孫を残して死ぬまでのサイクル)を完了できる最小の地理的空間単位」といえる場所

なのですね。


「ビオトープは、池な『人がつくった施設』をさす言葉ではありません。

そこに生物が棲んでいれば、白神の森も、都市を流れる川も、どんな場所でもビオトープです。

例えば、都心の小さなクスノキの植え込みでも、アオスジアゲハが産卵し、幼虫、サナギになり、羽化してチョウになります。周辺の吸蜜する花や水場などと合わせて『アオスジアゲハのビオトープ(生息場所)』ということになります。」


2.造成しただけではビオトープではない?

それでは、「アグリパークのビオトープや小学校ビオトープはビオトープ?」という疑問がわいてきます。

「アグリパークや学校のように造成された『ビオトープ』は本来ビオトープではありません。しかし、そこに生物が生息して初めて『ビオトープ』となるのです。生物がそこに棲めない場所であれば、ただの『池』や『水槽』なのです。」

つまり、周囲の環境を含めてビオトープに仕立てる作業が必要なのですね。


3.じゃあ、どうすればいいのか

それでは「生物が自然に来る場所にするには?」どうすればいいのでしょうか。

「生物にはそれぞれに適した生息環境というものがあります。

例えば、シオカラトンボは開けた水面に産卵します。池を埋めつくすように植物が生えていては産卵に来てはくれません。シオカラトンボのビオトープにしたいなら、まず植物を一部刈って開放水面を作ってあげなければなりません。そして、ヤゴが生息できる水中の環境も整えなければなりません。捕まえてきたものを放すのではなく、来て欲しい生物に適した環境を作り出してあげることにより、『呼び寄せる』のです。ビオトープをつくる目的(例えば、地域のメダカが減ったので、それを守るため、など)に合った環境を整えることが大切です。」



4.モニタリングと管理を~評価者は生き物!

「造成されたビオトープが良いか悪いかは、生物たちが答えを出してくれます。その生物たちにとって快適な場所になっているか、常に観察(モニタリング)して、生物たちにとって好ましくない環境であったら手入れをしたり、つくり変える必要があります。」

そうか、自然に放置すればいいわけではないんだ

「シオカラトンボのビオトープも、放置すれば植物が水面を覆ってしまい、すぐにシオカラトンボは来なくなってしまいます。それならば、定期的に草刈りをしなければなりません。

ビオトープは『造ったらおしまい』ではなく、『どんなビオトープにするのか』というコンセプトにしたがい、必要に応じて、継続的に手を入れ管理していくことが必要なのです。」


5.都市のオアシス、ビオトープ


「都市部では、宅地開発などにより生物の生息・生育空間は急激に減少しています。そんな中で学校やその他のビオトープは、生物にとって、とても重要なものになっています。生物が身近なものではなくなってしまった子供達にとっても、間近に生物を観察し、触れ合える場所となります。

 人間が奪ってしまった生物のビオトープは、人間の手で回復しなければなりません。学校ビオトープのような造成されたビオトープでも、様々な生物に生息・生育場所を提供できる可能性を持っているのです。」

都会の生き物は、良いビオトープなら、喜んで活用してくれそうですね。

そして、人にとっても、癒される場所になるでしょうね。


6.ビオトープを見る、あるいは運営するために、前提となる考え方

いくつか基本的なポイントを教わったので、ここに示します。

まず、良いビオトープかどうかは生き物に判断してもらうのが一番です。

つまり、狙った生き物が来ればそれが成功だという考え方。

また、ビオトープとガーデニングには明確な違いがあります。ガーデニングは人が楽しむ場所であり、ビオトープは生き物が楽しむ場所だということ。

そして、ビオトープには明確なコンセプトが必要です。

ある生物を保護するための空間なのか、あるいは、地域に自然に生息している生き物が集まってくる観察池にするのか。しおからトンボを呼びたいのか、アマガエルを呼びたいのか・・・・。


7.ビオトープにできること

ビオトープは地域の自然を映す鏡である、と感じました。

地域にもともといる生物が、産卵場所を求めて、餌場を求めて、あるいは休息場所をもとめて集まってくるわけですから。

和光市のような自然の失われつつある都会(!?)では、いま、どの程度の自然が残っているのかを知る、きっかけとなります。

地域の自然の現状を分析し、どう守っていくのかという戦略を立てるには、欠かせないツールとなることでしょう。(その2 に続く・・・・)


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