1、楽天に公正取引委員会が立入検査
 
ネット通販といえば、アマゾンか楽天か。そんな楽天に公正取引委員会が立入検査です。
 
 
楽天が、3980円以上の商品を購入した利用者の送料を一律に無料としたことについて、公正取引委員会が立入検査に乗り出したとのニュースがありました。
 
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200210/k10012279861000.html
 
今日はこのニュースについて考えていきます。
 
2、出店者の同意なしに送料無料にできるのか
 
楽天は、出店者の集まりですから、本来出店者が自由に送料を決められるとも思えます。

もちろん、楽天側が、最初から「送料無料にしないと楽天を使わせない」としているなら、それに同意して出店した場合は、送料無料にしなければならないでしょう。
 
しかし、楽天は途中から規約を変更し、送料無料にしようとした模様です。
インターネットで入手できる楽天市場の出店規約には、このようなルールがあります。

https://www.rakuten.ne.jp/gold/_sales/pdf/kiyaku.pdf
 
楽天市場出店規約
28条 規約の変更
1 甲は、必要と認めたときは、乙に対して予告することなく本規約および本規約に付随する規約の内容を変更することができるものとする。
 
規約を楽天側で一方的に変更できるというルールです。
 
契約する場合は、規約に従え!という場合の規約を「約款」といいます。

保険等の契約で出てくるものですね。隅々まで読んで契約する人は少ないのですが、大量の契約を締結する際には、約款に従うことも合理的なので、
 
約款の内容が告知され、かつ合理的ならば、約款は契約内容になると解されています。
(2020年4月1日の民法改正後は若干ルールが変わりますが、だいたい同じと考えて差支えありません)
 
とすれば、民事上は、変更後の約款が合理的か否かが問題となります。

この点、アマゾンに対抗するなら3980円以上の送料無料は合理的だという考え方もあり得ますし、品物の別を考慮せず(大きいものや小さいもの、中にはクール便が必要なものもあるでしょう)一律に送料無料は不合理だという考え方もあるでしょう。
 
今回は民事ルールが直接問題ではないので、この話はここまでにします。
 
3、優越的地位の濫用
 
優越的地位の濫用とは、独占禁止法第2条第9項第5号に該当するものを指します。
条文を抜粋します。

五 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。
イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロにおいて同じ。)に対して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。
ロ 継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。
ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。
 
今回の楽天の行為が、どの条項にあたると公取が判断したかはわかりません。

ただ、送料を無料にさせる行為が、ロの、「自己(つまり楽天のために)経済上の利益を提供させること」にあたると考えた、あるいは、ハの「取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更」にあたると考えたのだと思います。
 
今回の事件は、おそらく公取の主張と楽天の主張が真っ向から対立するでしょう。様々なポイントがありますが、私は一方的に送料無料とする行為が「正常な商慣習に照らして不当」と言えるか否かが一つのポイントだと考えます。
 
これについては、そもそも「アマゾンに対抗するなら3980円以上の送料無料」は合理的なのか?という問題が深く関わってくると個人的には考えています。
 
続報が出れば、またブログを書きたいと思います。
 

新橋虎ノ門法律事務所 共同代表弁護士 武山茂樹

 

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