いつも記事を読んでいただきありがとうございます。


先週金曜、渋谷のラジオ Track Town Shibuya にゲストとして出演しました。徐々にこのブログが陸上界に広まってきている、とのことでとても嬉しいです。


これからも「スキマ時間にちょっと読めて、ちょっと役立つ」のテーマをブラさず書いていこうと思います。





さて先日、引退してから初めて、2ヶ月ぶりくらいに走りました。しかも織田フィールドで市民ランナーの方たちとポイント練習。


幸い体重が増えていないのと、神経が動きを覚えていたのとで、3'20くらいのペースで楽に走れましたが、筋力が衰えていたので、翌日は筋肉痛に襲われました。


やっぱり走るっていいな、と魅力を再確認しました。生きてるって感じ。これからは、純粋に楽しいというモチベーションで走ろうと思いました。


そして走ることで何よりも嬉しいのが、「お疲れ様!」とお互いのハードワークを労う言葉を交わす瞬間。


いつからか、「お疲れ様」は僕の一番好きな日本語になりました。


2ヶ月前に現役引退を発表したときも、たくさんの方が「お疲れ様」と言ってくれました。結果どうこうより、「今までよく頑張ってきたね」と努力を讃えてくれる言葉です。





ということで今回の話題は、そんな僕の大好きな日本語「お疲れ様」について。




突然ですが、お疲れ様って英語で何て言うと思いますか?












正解は、ありません。


そう、英語には「お疲れ様」にあたる表現がありません。 "good job!" とか "good work!" とか、代用出来そうだけど、お疲れ様ほど万能ではない。"I appreciate your hard work" ...うーん、、長いから却下。


試合や練習結果の良し悪しを置いておいて、相手の労をねぎらう言葉。英語に置き換えられない言葉。それが「お疲れ様」。僕が一番好きな日本語。

そんな「お疲れ様」にまつわるアメリカでのエピソードをひとつ。




これは僕が2年生のときのこと。

NCAA Championships(全米大学選手権)をかけた大一番、西地区予選がテキサス州で行われていました。全米に進めるのは、各種目トップ12のみという狭き門。


チームメイトの女子選手の一人が、自己ベストに迫るパフォーマンスで13位に。


全米を目指して頑張っていたそのチームメイトは、ひどく落ち込んでいました。


自分のレースを翌日に控えた自分は、彼女のパフォーマンスに勇気づけられたし、彼女があと一つで全米を逃したことが自分のように悔しく、労いたい!という気持ちになりました。


しかしいい言葉が思い浮かばない。「お疲れ!って言いたい!!!」


仕方なく僕は言いました。



"Hey, good job."



すると彼女は


"What?! Are you kidding me? I didn't do a good job."
(何?ふざけないで!悪い結果よこれは!)

試合結果に動揺していた彼女は僕にキレました。


あー、、やっちまった、、、。



その後、冷静になった彼女は、僕に謝りましたし、僕も悪いタイミングで声をかけたことを謝りました。


実は、このシチュエーションにおいて、"good job" は、限りなく正解に近い声掛けです。しかし時と場合によって、行き違いが生じてしまう。


この出来事は僕にモヤモヤを残しました。
「なんでお疲れ様に当たる英語はないんだ!」と。

そして、「頑張ったけど不本意なパフォーマンスをした人に何て声をかけるのが正解なんだ!」と。




正解など存在しませんが、それでも僕はアメリカで、「お疲れ様」に限りなく近い、いや、それよりも心の温まる言葉をかけられた経験があります。




それは  "I love you."



「アイシテル」ではないです。いや訳したらそうなんだけど。アイラブユーはアイラブユーです。


それは僕が四年生最後のNCAA Championships 西地区予選で、ヒドいタイムで組の下位を走った直後の話。


最後のチャンスに懸けていた僕は、落ち込む、というより情けなさで一杯でした。泣きたいというより腹立たしいような気持ち。


僕はクールダウンもせずに、呆然と日の暮れたサブトラックに立ち尽くしていました。


そのとき、僕のチームメイトであり親友がこっちに向かって歩いて来ました。



ちょっとそっとしておいてくれないかな…。僕は思いました。



目に涙をためた彼は、何も言わず両腕を拡げて僕を迎え、そっと抱きしめて優しく一言。



"I love you bro."




ああ、なんて温かい言葉だろう。僕は胸が一杯になりました。

その言葉、その抱擁は、失敗、挫折、全て受け入れて、包んでくれるように感じました。


4年間という長い時間、うまく行かないときも、苦しいときも共に乗り越えてきた親友に言われたからこそ、重たくて温かい I love you でした。

(信頼、感謝、尊敬、 I love you にはそういうものが全て含まれている、と僕は思う。)




英語で、結果の良し悪しに関わらず労をねぎらいたいとき、「お疲れ様」に当たる表現がありません。が、それは同時に、いろんな方法がある、ということです。


相手を想った上で自分の心から出てくる言動が正解です(たまにキレられるけど)。これは「お疲れ様」だけでなく、コミュニケーション全てにおいて言えることですね。




言葉の持つ力。これは絶大です。以前取り上げましたが、使い方一つで摂食障害などの原因となり、相手の人生を狂わせることも出来てしまう。あるときは暖かく包み込む毛布になり、あるときは鋭く傷つける刃物になる。

気をつけて使いたいものです。




今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。



次回は、陸上英語教室第4弾として、「体調を表す英語」を取り上げたいと思います。これがあれば、アメリカ人トレーナーにも診てもらえる?!((この英語教室がめちゃくちゃ役に立つ、とラジオで横田さんに太鼓判を押されたのが超嬉しかったです。))



では、次の記事でお会いしましょう。
See you soon!