神戸の県庁。決算特別委員会。県土整備部の審査。私も質問。

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まず、県営但馬空港に就航している航空機ATR機材更新事業費約20億円(2018年度)について取り上げる。
 
(1)減債基金(県債管理基金)が但馬空港ターミナル(株)社債を引き受け、機材更新事業費の財源を捻出したこと
 
(2)但馬空港ターミナル(株)の社債発行費と支払社債利息の合計額が県から毎年度補助金として支払われていること
 
について質問。背景は県債管理基金についての議会でのこの説明だ。
「資金運用面においては、外部有識者で構成する資金管理委員会の助言を得て定めた県の資金運用方針に沿って、安全かつ有利な運用に努めている。
 例えば、超低金利環境によって利回り確保が困難な中、グループファイナンスの活用などにより一定の運用益を確保してきた。『今年度も但馬空港ターミナル株式会社の航空機材購入に要する資金調達について、社債を発行し、県債管理基金が購入することで、地方債よりも有利な水準での運用を行っている。』」
 
県債管理基金が但馬空港ターミナル株式会社(通称:TAC)の社債を運用して地方債よりも有利な水準で運用し、一定の運用益を確保してきたと、議会の議事録には記録されている。
 
資金管理委員会の方もそう思っているのか。公式ではそういうことになっているのかもしれない。
 
TACの2018年度決算の損益計算書抜粋。県の補助金は県債管理基金に払う社債発行費と社債利息のためのものだ。
 
TACの2019年度の損益計算書抜粋。
 
TACの2020年度の損益計算書抜粋。県議会建設常任委員会資料より。
 
まさか上の損益計算書のようにTACが基金に払っている社債の利息や発行費用の全額を県がTACに補助金として払っていると知ったら資金管理委員会の人もびっくりだろう。実際は利息補給しているので無利子融資と同じだからだ。形式的に基金に利息が払われるがそもそも一般会計のお金。これを有利な資金運用と説明されたら金融の専門家も形無しだ。私が資金管理委員なら辞めるかもしれない。
 
私、自分の能力が足りない自覚があり、県民の代表で議会に送ってもらっているので努力して勉強してできる限り確認して質問しようとしている。間違うこともあるが、間違ったときは謙虚に反省しなければ、間違って開き直るなんてことだけはないようにと意識している。
 
今回もTACが県債管理基金に支払う社債の利息まで県が全て負担していること、議会で異なる発言があったことも調べた上で警鐘を鳴らすつもりで取り上げている。
 
TACには金融機関に担保として差し入れられる財産が購入する航空機くらいしかなく、金融機関からは低利で十分な借入ができないから、県債管理基金で丸抱えした、と正直に言ってもらえば、その通り。その方が外部借入より得なことは十分理解する。
 
しかし、私は、県債管理基金は県債の償還、即ち借金の返済に充てるお金。リスクのある運用や選挙によって変わる可能性のある施策等への投資などは控えるべきではと主張しただろう。この議論はいつも平行線。とはいえ健全な議論だ。
 
今日はこうした問答だけだろうと予想していたが違っていて驚いた。もう少しで、地方債より有利な水準の運用という外部への説明は違うではないか!云々の話を出そうかと思ったがぐっと堪えて自制。それは財政状況か企画県民部の所管。県土整備部の施策ではないとだけは自覚して質問した。
 
但馬空港についての支出は、2020年度決算では、空港維持修繕費に2億8726万円、同国庫補助対応分1億400万円、但馬路線運航対策事業費補助(JAC・赤字分)1億8653万円、但馬路線機材更新事業費(TAC)7619万円、空港公園維持修繕費1714万円、計6億7112万円。
 
一方、但馬空港のコロナ禍前の2019年度の年間利用者数は約4万人で、この額を利用者1人当たりに換算すると約1万7,000円、空港利用というのは、大体往復で利用することが一般的なので、行って帰ってくる、1人につき3万4,000円、だいたい毎年こんな感じの負担をしている。これはランニングコストである。

と2020年度の決算なのに、当局側の依頼で年度の違う最も利用客が多かった2019年度の人数に変えて配慮していた。私もコロナ禍、気持ちはよくわかるのでそうした。惻隠の情だ。
 
とはいえ、県民1人あたりのコストを知ることは大切なことではないと言われるとそれは根本から違うし、間違っている。ということで、2020年度の利用者は15,648人だったと調べておいたので1人あたり43,000円、往復で86,000円という驚きの額も追加発言させてもらった。流石に空港を使った人でも恐縮するような金額だろう。
 
※それ以外に但馬空港推進協議会及び但馬3市2町での運賃助成、その他欠航のときにタクシー代の補助もある。 
 
空港政策課への配慮は何の意味もなかったということだ。これは私なりにもっている信義則に反する話なので至極残念。とはいえ、ここではたまにこういうことがある。
 
なぜ説明責任を果たそうと考えないのか。議会に対しても航空機の財源は説明していなかったがその点は今日も説明なし。そんなことでいいのか。
 
県債管理基金が出てくるとろくな話がない。県債管理基金と長くつきあっている私だからよくわかる。本来の減債目的以外の話ばかりだ。
 
一言で言えば、一般会計にお金がなく、起債もできないとなると、減債基金でも遠慮なく手を付けるという考え方。分割払いにして一般会計から補填すればいずれ基金残高は補填されるだろうという先食いの考え方がある。

県債なら借金として把握されるが、分割払いを約束して債務負担行為にとどまるなら財政指標での把握は将来負担比率にとどまる、実質公債費比率には影響しないといった感じ。
 
しかし、2018年度からTACのHPでの情報公開が一気に下がった理由まで邪推していたが、凡そその見立ても正しいのだろう。上のように損益計算書を取り寄せてみたら今日私が指摘したことが事実であることは一目瞭然。これも逐一出すつもりはなかったが…。私にとって信義則は心の琴線のようなものなのでご容赦願いたい。

いまの財務諸表はきちんと会計基準にあわせて書いてあれば大体のことがわかるようになっている。私の質問項目を見ただけで同社のHPにアクセスした人がいて、私に連絡を下さった。簡易な貸借対照表しか見れなかったということだ。ディスクロージャーがなっていないと怒っておられた。これからは損益計算書は出せない!との判断がこれが原因ならこんな悲しいことはない。こんなことも県債管理基金のせいなのかもしれない。オープンとは逆の方向だ。
 
齋藤新知事のオープンという施策運営の基本方針は現場には全く伝わっていないということもはっきりしてその点も残念だった。
 
その後、当局側の幹部らと意見交換など。その後、決算特別委員会の最後の質問となる企業庁についての質問原稿に推敲。
 
 
昼食は下山手通のざりお食堂でチキン南蛮定食。