〜福島　宮城〜

　栃木を過ぎて、次に入ったのは福島県だった。

　福島に入った時には空は暗く、夜だった。しかし、2日後には岩手で用事があったため、なるべくその日の内に上の方まで行く事を目指した。

　そして日付を超えるくらいに着いたのが福島の沿岸の街、相馬であった。海が見える所に車を停めて眠りたいと思っていたが、沿岸部には高い防波堤が続いていた。それが一つ目のその町の歴史を感じた瞬間だった。

　次の日、岩手まで沿岸沿い、45号線を車を走らせた。

　何をどうやって書いたら、不快に感じる人がいないのかわからない。でも、私が想った事を素直に書きたいと思う。

　海からかなり離れたところまで、海の砂は広がっていた。コンテナのお店。綺麗な家。テレビに映る放射能情報。

　他の町に住む私には、震災は2011年3月11日だった。しかし、この町に住む人々にとっては今も続いているのかもしれない。

　私は見て、感じただけであるが多くの学ぶべき事がそこにはあったと想った。

　高田松原に一本だけ残された松。奇跡の一本松と名前がつけられていた。その横にある津波によって折られた松からは、新しい命が目を出していた。

　この光景は植物だけではない。人々もそうだ。

　全てが無になったわけではない。またここから生きていく。10年20年の話ではない。100年200年受け継いできた物、土地を100年200年先の人々に受け継いでいくのだ。

　「生きる」という人々の人生が、生き様がそこにはあるように想った。

　都会で暮らしている私からは遠く離れた世界。人の優しさで回っている世界。私は都会にいる時は全てが他人事だったのだと強く想った。この気持ちは忘れたくない。

　そんな旅路であった。