〜岩手 青森〜


 宮城を抜けて、岩手に入る。

 岩手の目的地は、遠野である。酪農で働いている友達に会う為に、45号線から340号線に入り山沿いを通った。

 岩手に入ってみたが、そこにあるのは山、田んぼ、後なぜか異様に乗り捨てられたバスがある。

 そして、東南アジアの人が多くいるように感じた。その時、「ここか!」と想った。外国人労働者、外国人研修生など学校、大学の授業で学んできたが、出会った事はなかった。東京など都市部にて働いている人々とは少し違う立場だろう。

 まず、地方の都市部では若い人々を見かけるが少し山間に入った町などでは老人としか出会わない。そこに、安い賃金で働いてくれる東南アジアの若者が働きに来るのである。

 しかし、現時点の私は何も言えない。地方に入って一番想っていることは、ここで食べ物を育ててくれているから、都市に生きている私は美味しいご飯を食べて生きている。

 それを支えてくれているのは低賃金の外国人労働者の人々なのである。

 それを変える為には、地方に若者が行き、第一次産業の地位向上を目指さなければならない。でなければ、この現実を変える事は難しいだろう。

 しかし、目指すべき物は見えている。

 そんなこんな様々な事に思考を張り巡らせている内に遠野の目的地に着いた。

 酪農は朝が早く、夜が遅い。友達の仕事終わりは早くて22時。そして朝は6時には働き始める。

 今が出産シーズンで一番忙しいそうだ。そんな時に押しかけたにも関わらず、社長さんなども笑顔で向かい入れてくれて、「ここに行くといいよー」などと良い場所を教えてくれた。

 

 酪農もやはり色々と想う事がある。

 考えている私は何もしない。それが常に私に刺さる。生き物を食べること。ホルスタインとして生まれてきたこの子たち。

 それを大量生産、という形にさせて本来の「命を頂く」という人と生き物との関係を壊させてしまっているのは都市にいる私だ。

 そして、ここにもフィリピンの方々働きに来るらしい。日本人とは時給が500円近く異なる。同じ仕事であるはずなのに。

 

 遠野という場所はすごく静かな場所だ。

 

 田園風景が広がっている。

 水光園というお風呂は大きな窓があり、サウナ、ミストサウナがある。サウナは50°と少し低めの温度に設定されているが体が温まっている状態で入ると汗がジワーと出てきて、これまたサウナの概念が覆る。

 きっとここの見せ場はミストサウナだ。ミストが焚かれた室内は、玉座の様な椅子が4席ありお湯が心地いいくらいに流れている。そこに座って目を閉じると、一種の瞑想状態の様な何も考えないで良い時間が流れ始める。

 最高なリラックスであった。

 このお風呂ではよく話しかけられた。やはり若い人がグループで訪れる事は少ないらしく、「今日は何かあるんですか?」と様々な人々に話しかけてもらった。ここの人はみんな優しい。

 そんな影に外国人研修生の存在を感じて「ここはその内フィリピン街になるだろうなぁ」と妄想染みた理想をするのも楽しかった。

 遠野はジンギスカンが有名らしい。旅一番の贅沢だ。美味しかったが、まあそれなりだ。特別ではなかった。それよりも酪農のお母さんがくれた「ガンヅキ」という郷土料理に優しさを感じた。

 きっと今回の旅は「私の世界に優しさを溢れさせる」という事がテーマなのであろう。

 そんなこんなで18:00頃に遠野を後にして、青森へと向かった。

 青森までは一度沿岸に出るべく340号線から106号線へと。そして106号線から45号線へと戻っていった。

 夜ひたすら車を走らせて3時間。とうとう青森に入った時には私の体からアドレナリンが溢れ出してくる感覚があった。青森に入って最初に入ったコンビニ店員さんの津軽弁に興奮を覚えた。

 青森は大間、本州最北端まで走り抜けた。青森の景色は平らなところが多く北海道もこんな感じかな、と思いを馳せていた。

 


 本州最北端。海は透き通っていて気持ちがいい風が吹いていた。そして、北海道に入る為にフェリー乗り場へと向かった。