原田マハ『アノニム』
窃盗団がアートで世界に仕掛ける!痛快エンタメ小説





 

ジャクソン・ポロックと香港の学生運動が、この本には登場して、どんな関係性があるの?


しかも、美術窃盗団アノニムが主役だけど、どう進むの?と最初は展開が見えなかった。


でも、アノニムが目指すことが見えてくると、霧が晴れるように全体が見えて面白くなってくる。

 


ポロックの「ナンバーゼロ」が競り落とされるオークションシーンもリアルに書かれていて、「へぇ~」と驚くことが多いのと共に、思わず読んでいた手に力が入った。


無事競り落とされたときは、こちらも「ふぅ~」と脱力してしまうくらい臨場感があって面白い。

 


ジャクソン・ポロックの「どうやって今の絵画界に風穴を開けられるか?常識をぶち破って革命を起こせるか?」の熱と、香港の自由を求めた学生運動の熱が絶妙に絡まり合う様は読んでいて心地のイイものだった。


まったく畑が違うようなものでも

「まずはノックしてみろ

」というメッセージがリンクしていて、こちらもハラハラして感動の風が吹く。


本当にアートは世界を変えられるのかもしれない。