自由民主党を代表し、世界経済フォーラムに出席しました。

 

 ダボス会議でのスピーチ全文を掲載します。


 ダボス会議のセッション『Redesigning Government Exits(政府の経済対策の出口戦略)』の中で、竹本が行ったスピーチを全文掲載。

 日本は、バブル崩壊後、いわゆる『失われた10年』というものを経験いたしました。今回の金融危機からの『出口戦略』として日本が経験したことを世界に示すことは非常に重要なのではないかと思います。バブル崩壊後、我が国は金融機関に対して約12兆円の公的資金を注入し、不良債権処理と資本増強を行う枠組みを導入いたしました。その結果、金融システムの更なる不安定化は回避されましたが、金融機関の収益力や経営体力の回復は2003年以降にまでかかりました。

 今回の金融危機では、多くの国で銀行に対し公的資金の注入を行いました。しかし、一方で、各銀行は公的資金の返済を非常に急いでいるように感じます。もちろん公的資金は国民の税金ですから早く返すことは必要です。しかしながら、アメリカの銀行などのように公的資金を返す一方で、貸倒れ引当金を積み上げている事実も一方でございます。これは銀行内部には多くの不良債権が存在している可能性が高いことを示しております。私は各金融機関が公的資金の返済を急ぐのではなく、銀行内にある不良債権の処理を積極的に進めるべきだと考えます。そうしなければ将来的に銀行の経営に重大な影響を及ぼす可能性が高いからです。見た目をいくらきれいにしても中身が汚ければ意味がありません。不良債権の処理を進めるために、破綻金融機関以外の金融機関からも不良資産を買い取る制度の導入を各国は進めるべきなのではないでしょうか。

そもそも私は金融危機後の緊急的な政策からの脱却のためには、金融政策と、財政政策の両方を上手く合わせることが必要だと考えています。

例えば、政策金利の引き上げに関して言えば、金融危機以後、各国はそれぞれ政策金利を0%から1%近くまで下げており、どこか1つの国のみが上げる事はできないと思います。政策金利を上げるためには①各国が同じ時期に、②似たような上げ幅を、取ることが必要だと思います。そうしなければ為替相場の悪化など重大な影響を及ぼしかねません。

財政政策としては財政の健全化を目指さなければなりません。財政状況の悪化は国の経済を圧迫する可能性が高くあります。金融危機後に一時的に増大した財政をどう緊縮させるかが焦点となると思います。日本も早急に財政健全化策を発表しなければならないと考えております。

現在の日本の状況ですが、株価は比較的安定しているとはいえ、失業率は5%を超えたまま下がる様子はなく、実体経済、雇用共に非常に厳しい状況にあります。このような中で、金融危機後の緊急的な措置から脱却するのは時期尚早なのではないかと考えております。いまだ厳しい実体経済や雇用を下支えるためには経済対策は必要でが、段階的には緊急的な政策からの離脱も考えなければならない時期だと思います。

経済が持続的成長軌道に復帰するためには、急ぐのではなく、より長い時間を必要としていることに留意しなければならないと思います。