都響スペシャル「第九」を、サントリーホールにて。

 

ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125《合唱付》

 

指揮/アラン・ギルバート

ソプラノ/クリスティーナ・ニルソン

メゾソプラノ/リナート・シャハム

テノール/ミカエル・ヴェイニウス

バス/モリス・ロビンソン

合唱/新国立劇場合唱団

 

都響と抜群の相性を示すアラン・ギルバートによるベートーヴェンの第9。アランが振るベートーヴェンの交響曲は3番を何回かと1番を聴いたことがあるが、9番は録音も含めて初めてだ。

終演後の会場は予想通り大きな喝采であったが、薬(もちろん合法)を服用して眠くなったのがいけなかったのか、自分にはほぼアピールしない演奏であった。

 

弦は14型、ヴァイオリンは対向配置だが、ヴィオラが左手、チェロとコントラバスが右手という配置だ。最近16型に慣れたから、というわけでもないだろうが、普段聴く都響の音ほど密度の濃さが感じられない。昨年のインバル都響が採用した16型倍管編成が自分の第9スタンダードになりつつある…まずい。

使用楽譜、最近メジャーなベーレンライター版ではなかった。テンポは全体に速めで、特段変わったことはしておらず、楽天的な解釈である。第2楽章のみ、普通よりやや遅めに感じられた(リピートは全て行っていた)。第3楽章は速めで淡々と進む。第4楽章、歓喜の歌の前のオーケストラだけで演奏される部分の推進力はなかなかであった。

 

今回の演奏で特筆すべきは独唱陣ということになろう。年末の第9でこれほどレベルが高い独唱陣というのもなかなかないだろう。テノールのヴェイニウスは昨年のノット指揮東響「サロメ」であの素晴らしいヘロデ王を歌った人だった。合唱は新国立合唱団で総勢60名弱。新国立劇場合唱団、年末は都響のほか東京フィル、N響、読響でも第9を歌っているが、おそらくメンバーは違うだろう。今回の都響の合唱も、精鋭部隊とまでは言えなかったような…

 

というわけで、今年の第9は今回1回のみで終了。

 

総合評価:★★★☆☆