新日本フィルハーモニー交響楽団 #631 ジェイド〈サントリーホール・シリーズ〉

 

指揮:尾高忠明

ヴァイオリン:山根一仁*

ソプラノ:砂川涼子**

 

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第 5 番 イ長調 K. 219 「トルコ風」*

マーラー:交響曲第 4 番 ト長調**

 

当初音楽監督上岡敏之の指揮、バイバ・スクリデのヴァイオリンが予定されていたが、来日不可能になり上記の指揮者、ソリストに変更となった。

この時期、マーラーが実演で聴けるだけでもありがたく、チケットを購入。

 

今回の代役指揮者は尾高忠明。英国音楽を得意とする、とても紳士的な演奏をするタイプの指揮者だ。

今年の大河ドラマ「青天を衝け」の主人公渋沢栄一は尾高忠明の曾祖父であり、その大河ドラマで登場する渋沢栄一の従兄、尾高惇忠(じゅんちゅう)もまた、尾高忠明の曾祖父である。渋沢家と尾高家の末裔はまあ驚くほどすごい方々が多くて、まさに「華麗なる一族」と言えるだろう。

話が横道にそれた。尾高忠明さんの指揮はとても紳士的で慎み深いので、一昨年の暮れに聴いたベートーヴェンの第九などはちょっとおとなしすぎて物足りなかったのであるが、今回のマーラーの4番は基本的に中庸な表現の中にもアゴーギクを多用し彫りが深い表現で、予想したよりもずっとメリハリが効いた、聴き応えのある演奏であった。

第1楽章提示部のリピートはなかったような…記憶違いかもしれないが。第4楽章の砂川涼子さんのソプラノソロ、オーケストラとずれていたところもあったが、オーケストラの音色に溶け込むようなソフトな表現。それにしても砂川涼子さんはいつまでもとてもお綺麗で、正直年齢不詳…音楽家は男女問わず、年齢よりも10歳ぐらい若く見える人がざらにいる。

オーケストラは木管にアンサンブルの乱れがちょっとあったけれど、ソロは悪くなかった。当日のメンバー表を見ると結構エキストラが多いが、新日本フィルは最近正団員の数が少ないのでやむを得ないのだろう。

後半の弦は14型。

 

前半は山根一仁が弾くモーツァルト。山根の音はやや線が細く、オーケストラの弦も小編成だと一気に音の色彩が薄くなってしまうのは、日本のオーケストラだと致し方ないか。前半はいつも眠くなるのだが、やはり今回の演奏も眠気を吹き飛ばすには至らず。

 

会場はかなり空席が目立ち、そもそも販売していない座席もあるとは思うが全体の半分強ぐらいの入りだろうか。

 

総合評価:★★★☆☆