ヒザの半月板は関節の内部にある軟骨で、人間の日常生活動作上にて常に負荷がかかる部位の一つです。そのためちょっとした原因で傷めやすい部位でもあり、「ヒザが痛い」の原因で多くみられるものの一つです。



 半月板損傷はスポーツをする20歳前後の世代に多くみられますが、幅広い年代でみられます。



 若年層ではスポーツ外傷が多く、ヒザを曲げた状態(膝関節屈曲位)にて、ヒザから下(下腿)に速い回旋力が加わると半月板を損傷しやすく、ヒザの靭帯(内外側側副靭帯、前後十字靭帯)を合併損傷することもあります。
 半月板は内側と外側の2種類あります。内側半月板は下肢荷重状態にてヒザを曲げながら外側に反った状態(膝関節屈曲・外転位)にて、大腿が瞬間的に内方へ捻ねった(内旋)場合に損傷しやすくなります。また大腿が固定された状態で下腿が急に外方へ捻った(外旋)場合でも起こりやすくなります。 
外側半月板の損傷はこれらの逆方向の力が加わると損傷しやすくなります。サッカーなどで、ボールを蹴る際に通常は急激にヒザが伸ばされ(膝関節伸展)、このときに関節面に非常に速いすべり運動が作用してしますと損傷しやすくなります。
 小児では発育状の形成異常(円板状半月など)でみられることがあり、外傷機転が明確でないことが多々あります。 
 高齢者では変性を基盤となり、ヒザの変形性関節症によって半月板を潰されたり、擦り減ったりして発生します。



 半月板を損傷すると、関節水腫という腫れが出現して関節内部に貯留して、ヒザのお皿(膝蓋骨)が浮いた様な状態(膝蓋跳動)がみられます。
また痛みも強く、関節の隙間(関節裂隙部)を押すと痛みが増強し、荷重がかかっても痛くなります。
ヒザを完全に屈伸することが困難になることがあり、痛みがでないように不自然な姿勢での歩行になります。
またヒザの嵌頓症状(ロッキング)が伴うこともあり、その状態ではヒザを屈伸させると抵抗音を触知することがあります。
症状が長期になると大腿四頭筋という本来は強い筋肉が萎縮し、ヒザの不安定感が増してくるため注意が必要です。