ジャン=ドミニク・ボビーは目覚める。そこは病室。

自分が脳梗塞で倒れ、運び込まれたことを徐々に思い出す。

医者や看護婦がやってくる。だが、おかしい。

意識ははっきりしているのに、自分の言葉が通じない。

しかも、身体全体が動かない。唯一、動くのは左目だけ。
OTたけじゅんの地域リハブログ
ELLE誌の編集長であるジャン=ドミニク・ボビー は、妻と3人の子供たちと穏やかに暮らしていた。ある日、新車を試乗中脳溢血 に襲われる。
一命は取り留めたが、意識(記憶と想像力)および左眼の機能だけは正常だが、全身に亘っての麻痺、とくに言語中枢が機能しない重度症状により、リハビリのためパリから北部海岸の街ベルグの療養所へと移床される。
全身の運動機能を完全に失ってしまった現在、唯一動かせたのは左目のまぶたのみだった…


僕は生きている。

話せず、身体も動かないが、確実に生きている。


たとえ身体は”潜水服”を着たように動かなくても、”蝶”のように自由に羽ばたく記憶と想像力で、生きた証を20万回以上の瞬きで、自伝を書き上げた。