ちで書く

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「『ち』で書く」―。書の師匠である母・武田双葉から、そう教わったことがあります。


そう聞いて、「やはり、書は血。血統なのか。生まれ持っての才能次第なのか…」と思い、自分の不器用さ、才能のなさを恨めしくも思いました。


ただ、「ち」=「血統」と決めつけるには不自然な出来事が、この道場で次々と起こっています。


例えば、足の置き方を変えるだけで、墨色深まる生徒さんを見ると、「『ち』は、足の接地の『地』なのか」と思います。


マッサージで手を解すだけで、線が軽やかになる生徒さんを見ると、「『ち』は、身体の血めぐりの『血』なのか」と思います。呼吸の仕方を整えるだけで、払いが抜ける生徒さんを見ると、「『ち』は、『息』(「ち」とも読む)」と思います。


調べてみれば、和語の『ち』には、「血」「地」「息」以外の意味も複数あるようです(「氣」や「霊」など)。


今まで、理解したつもりだった師匠の教えは、本当に「つもり」だったよう。その『ち』は、もっと奥深く、もっと豊かなヒントが詰まっているのでしょう。


真摯に書に向き合う生徒の皆さんのおかげで、日々、新しい「ち」(智恵の智)も生まれています。はたして、「『ち』で書く」とは、一体、pどういうことなのでしょうか。


今月も、ばっ「ち」りと、筆の心地よさを味わい、それぞれの『ち』を深めていきましょう。


書法道場師範 武田双鳳


via 書法家・武田双鳳
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