森林インストラクターになって、様々な場所での活動に参加したり、森や里山に関するニュースを見聴きする中で感じるのは、森の持つ多様な機能を見直そうってのはいいものの、すぐに換金というか産業というか活性化の手段として考えようってこと。

 

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確かにアリではあるんですが、そうするとどうしても規模が大きくなる=産業化する事で「普段の暮らし」の中からは離れていってしまう。また、規模が大きくなるとその場所の改変も広く深くなって、自然への影響がどうしても大きくなるなと。

難しく考えるのではなく、まずは普段の休日の中で実際に触れて「楽しむ」事で、自然と人との本来の繋がりを感じられるのではないかと。それが出来るのが実は竹林(竹薮)なのではないかと。

 

常々考えておりましたら、中川村の古民家七代さんの山林が良き環境であることが判明。
素晴らしいのはあの森にはその竹林あり、植えられたヒノキあり、お茶が既に生えているということ。

少し事前に踏査させてもらって考えたのは、竹は侵入してきたものと密に生えているモノは除きつつ、一部分皆伐させてもらう。
そこは光が当たる事で多種多様な植物の芽生えがあり、最初は手がつけられないぐらいになるやもしれません。
ですがそれが本来の自然の姿。いきなり得たい樹種を植え育てるのではなく、まずは芽生えを見守る。


その中から在来の広葉樹であるアベマキやクヌギを見い出し、どうしても数が少なければ、拾って育てた苗木を補いとして植え、生えてきた在来の木々との競争の中で、枯れたり除かせてもらったものは焚き木として使う。
こうした長い見守りの中で、最終的に薪や焚き木として切っても再び切り株からの萌芽で再生する薪炭林へと導けたら。

その過程では様々な生きもの達との出会いがあるでしょう。実際に立ち入り、定期的に見守る中で我々が感じられる事は多いと思います。大切なのは力技での「整備」「管理」などではなく、あくまで自然主体での「導き」「見守り」

それをこの場所でやりたいと考え、古民家七代の永子さんや大島農園の大島さんらと一緒に始める事としたのが

「山ざるの会」です。(何故『山ざる』なのかはまた追って)

 

 

 

1月初めの寒いけれど晴れた日

 

山ざる仲間(笑)が車から降りるや否や

集合場所とした公園に生えたシラカシに

 

するすると上って

 

樹上で見つけた

何かを手に降りてきてくれました

 

それがこちら。

おそらくカイガラムシの一種かな?と。

 

その後、スケッチブックに描いた森についての説明をした後、導きと見守りを続ける場所と、その周辺の探索に出発!

 

ここはモウソウチクの竹林。管理はなされていますが…

 

道を挟んだ上側の森へ侵入を始めています。

この森はコナラやアベマキ、クヌギからなるかつて薪や炭として定期的に伐って使っていた「薪炭林」

 

その様子は竹が少なくなる場所に来ると明らかに

 

 

林床に降り注ぐ陽光

その明るい地表には落ち葉に隠れてどんぐりの芽生え

 

これはおまけ。あの大きな蛾である「クスサン」の繭ですね。

昔はこうして指サックの替わりにして、水田の草を抜いたとか。

 

おっ!

森林インストラクターの出番だ!! 力んで解説開始(苦笑)

 

サクラの立枯れに生えたカワラタケ。

キノコには木部から生えるものと、根の周囲から生えるものがあり、

前者は木部を腐らせ、後者は生きた樹の根と共生して生きている事を伝えます。

 

これから始める導きと見守りにて

こんな広葉樹の森も一角に生まれたらいいなぁと

 

その後、実際に導きと見守りを行う森の中へ

中を等高線にそって横断しているケモノミチを歩かせてもらい、中を散策

 

自分は散策だったけれど、他の方々には結構厳しかったようで

 

まあ、こうして下から見上げてみれば、キツイわ

 

降りてきて公園の園路に傾いていた竹を一本伐らせてもらい

この竹(マダケ)の特徴などを説明

 

そして竹を竹材として使うための枝落としや

 

一定の長さでの玉切り?(竹は何と呼ぶのか??)

 

鉈を用いれば速いかもしれませんが、速さを求めている訳ではない

安全第一、そして切った枝や稈ですら使いきるためには、丁寧な枝払いが必要なことを体感してもらいたいから。

 

 

そして枝は

竹の背後にきちんと揃えて積んでおく。

竹を使うための竹林として管理するなら、枝葉はやがて土に還り次世代の竹を育てるための土壌の養分となる。

それに立ち入って作業する際にも枝が邪魔にはならない。

 

ここで午前の部終了!

小猿達には「お昼の煮炊きをするための木の枝や枯れた竹を集めて運ぼう!」

するとかなりの量を抱えて運んでくれました(嬉)

 

あと「焚きつけには燃えやすいスギの葉が欲しい」

しっかり集めてくれる(嬉*2)

 

昼食場所には樹齢300年を越えていた榧(かや)の切り株がある「榧の丘」。

 

自分が持ちこんだ無煙焚火コンロと、焚火台にて持ってきた木々を燃料に点火

 

「薪のお風呂焚いた事ある」との事で、実に頼もしい

でもマッチの扱いはおっかなびっくりなのは可愛らしい。

 

この日の鍋は

大島農園さんの自家製野菜たっぷりのお味噌汁。

 

 

 

娘が火の調整をし、母が野菜を刻み入れる。

 

 

良い光景だ

 

焚火台の上なら火の監視が容易。

火は扱いが難しく危険なものだけれど、その怖さを知るには実際に燃えるというのがどういう事なのか、間近で体感することが大切なのではないかと。

 

良い感じで火が通ってくると、湯気と共に野菜のいい香り~

 

野菜の良きお出汁が出たお味噌汁は美味しかった~。

(肝心なあの1椀を撮り忘れた)

 

午後は

切りだしてきた竹を更に切断

 

姉妹それぞれ

 

個性があって

 

見ていてホッコリ

 

身近にまったく子供がいない自分にとっては、

彼女らの反応がとても新鮮

 

穴を開けるのも

姉妹ってこんねに仲がよいものかと感心するほど、どちらからと声を上げたりする事なく自然に手伝えている。

 

今回完成イメージを黒板に描いて

 

作ったのはどんぐりを播いて育てるための「竹ポット」

基本的に植えずに生えてきたものを見守って森へと導くつもりですが、どうしても高木となる種が足りない、生えて来ない場所には補いとして育てた木々を植える事もしたいと考えているのです。

 

山ざるの会は月に1度の開催予定。

 

自分が一番やりたい「多様な生きものが息づく 森への導きと見守り」

この場所でまずは第一歩。