今年も秋の小川路峠へ向かう事ができました。

 

昨年と今年もイベントというか主催ではないものの、現地での案内や解説は自分から。

ただ今年は周知がギリギリでしたし、新たな形をとったので自分から募集するのに迷いも。

 

昨年の帰着が、夕暮れ間際になった反省からスタートを早め、7時には上り始めました。

朝のうちは朝日も照る事があって、その光に赤や黄色の葉が映えてました。

 

が、

衝撃だったのは、今夏の台風による倒木の被害。

根こそぎ倒れるもの、途中から折れるもの…多々認められました。

 

また、昨年まで通られていた場所が崩落により無くなり、大きく迂回している場所も。

地質が脆い場所では、この道ができた時から付きまとう事象であるものの…

人間が造りし物は、やがていつかは消えてなくなる事を痛切に感じます。

 

厳しい現実を感じつつも

いつもの堂屋敷のヤマナシは、数が少ないながらも実を付けてましたし

 

道沿いにずっと変わらず立ち続ける観音様も、同じ表情で迎えて下さいました。(梨はお供え)

 

 

朽ちかけた木の中には、もしかしたらアカネズミが貯めたかもしれないミズナラのどんぐり。

 

昨年気づいた

落ち葉の上に残る「何かが寝ていた跡」

 

今年は何か所も発見。

比較的まとまってあったり、寄り添っていた痕跡から見ると、群れるニホンジカかイノシシか。

 

 

今年は昨年と比べると、この道沿いでの紅葉は進んでいるように思えました。

 

 

火いる場前の木地師の墓入口下。

この峠というか道の頂部へと昇っていく様が好きです。

 

火いる場の天然カラマツ。

 

26番観音

 

見晴らしの良き場所

 

 

休み石

 

文政の石仏

 

いくつもの、いつもの光景。

 

 

 

幾度となく、通る度に新鮮さは無くなっていく事を実感していますが、

必ずそこにある、見られるという安心のようなものは増していく気がしている。

 

 

だが、今回初めて気づいた

ツキノワグマと思われる糞

 

通いなれた筈だが、ここ小川路峠へ至る道で見つけたのは初めて。

これがまさか帰路での出来事の予兆になろうとは…(おおげさ)

 

 

峠には

想定よりもかなり早く到着。

 

上村側の観音様の石質(石灰岩)が違う事を説明したり

 

 

反射板がかつてあった場所から

伊那谷側を望んだり

 

 

峠から少し遠山谷側へ上った…

 

 

これ途中に生えてた

 

 

遠山谷側を望む場所から、上村のしらびそ高原を見てもらう。

 

予定では峠で早めでも昼食を…

とも思っていたのですが、思いのほか早く到着したのと、やはり1600mを超える高地であり「風も冷たかった」ため、

 

お昼を食べる場所は帰路として、下り始めたところ…

 

 

ふと、視界に「異質なもの」を認める

写真中央、黒い2つの点 判りますか?

最初、切り株にしては変&岩にしても違和感を感じ、正体を確かめようと目を凝らすと「動く」。

 

サイズからイノシシか それとも…

黒さと形状から、「ツキノワグマ」と判断できるまでそう時間はかかりませんでした。

しかもどうやら親子。

 

ツキノワグマの親子は危険なので、かなり正直ビビリましたが、同行された方を怖がらせてはいけないし、2頭は落ちているどんぐりを食べるのに夢中なようで、こちらには気づいておらず。

 

よって同行されて方には小声(何故か)でいる事を伝え、立ち去りました。

 

この手前の「堂屋敷」で昼食をとも思ったものの、できるだけ遠ざかりたかったので通過。

すると、この先で嬉しい出会い。

「二ホンリス」です。

先ほどと同じように何か視界に入ったと感じ、目を凝らすと長い尻尾が見えます。

慌てて同行者を呼び、見えた方向を示すと何とか間に合いました。

 

私も何度も上っているこの峠であり、食痕は何度も確認していましたが、実際に姿を見たのはようやく2度目。

先ほどの怖さが少し薄らいだ嬉しい出会いでした。

 

 

カラマツとアカマツの間に設けられた道を抜け、

 

 

落ち着いて紅葉を見れば、この場所の美しさを改めて。

 

同行された方もおっしゃっていましたが、

単に黄色や赤だけでなく、緑が混ざっている事。

また、単一の大きさでなく高木から中木まで様々な高さの木々があり、森の断面に変化があること。

 

それが、奥行きや深みを加えている。

そうなんだ

この以前思わず涙が出てきたのも、そんな他には中々見られない紅葉だったからなんだ。

 

 

意図して作られてはいない、自然美。

人が変に関与しないことで生まれる美しさ。

 

 

 

そんな事を多くの人に感じて欲しいとも。

 

昼食はかなり戻ってきた

火いる場にて。

 

好物の「塩サバカレー乗せのり弁」にしたけど、ツキノワグマ親子目撃の衝撃からか、

来た道の方が気になってあまり味を感じず。

 

お茶飲んで、少し休んで出発。

 

米川辻の先の皆伐場所の植生は

 

相変わらずで少し落胆したけれど、

 

 

同行された方が気づいた

植えられたカラマツでない、実生から生えたアカマツの稚樹達に

 

 

やはり人が植えたものよりも

自然にその場に生えたものの強さを感じて、少し安堵。

 

今度来られるのは来春かな。

そのころ、数多くの芽吹きがシカの食害に負けず残ってくれてることを期待して。