東京ものんびりはしていられず…

 

何故ならこの日は午前中より信州大学農学部と、伊那市の現地にて行われる

H28地域戦略プロフェッショナルゼミにおける環境共生の未来学Ⅲの講義と現場講習に参加するため。

 

早起きしてホテルの朝食も食べず、新しいバスターミナル「バスタ」へと向かう も …

 

まさかの

高速バスに乗り遅れた~(泣)

 

原因は新宿駅からバスタまでの間の経路を間違えたため。

よおく下調べしとかんもんでな。

 

 

 

午前中の講義は聞く事ができなかったが、午後には間に合う。

 

実地調査へ赴く前に、 「前沢川の状況について」 フィールドディスカッションを信州大学農学部 福山助教授より学ぶ。

 

以下メモより

伊那市の前沢川にて平成18年に発生した土砂災害
24時間と72時間雨量は辰野・伊那ともに観測史上最大の降雨量
前沢川での土砂災害、上流域にて崩壊し、下流域の柳沢集落に土砂が流入
しかし中央道にて土砂や流木が止まる(中央道は通行止め)
CS立体地図(赤黒の)にて過去の災害の痕跡などを探ることができる

 

その後、信州大学農学部のバスにて現地へ。

 


柳沢集落での前沢川の様子に

 

中央道BOX内に未だに残る土砂の痕(約1mの高さ)を見る。

 

 

そして復旧現場

新たに設けけられた砂防堰堤とその遊水池(でかい)。

この施設は国土交通省管轄。これから上流の施設は林務部(林野庁)

 

よくありがちな話

 

だが連携して災害復旧に取り組んでいる様子は良く判った。

 

 


林道兼管理道を上りながら左右の山の状況を確認。

 


カラマツが目立つが、間伐が進んでいるとは言い難い。森林の持つ土砂流出防止機能を高めようという施業は直接はみられず。

 



災害発生時に発生した崩落地の痕跡の説明を受ける

 

崩落部の表土は復元されず、植生も生えてきていない

 

また、設けられた谷止め工や流路工の施設についても説明を受ける

 

 

普段からやまに入り浸る自分にとって、ここは「いかん(よろしくない)」部類。

 

たぶん

歩きまわって調査するのも嫌だ。

 

 

 

 

 

説明を聴いていてどうしても話したくなり、法面保護として用いられている木々(肥料木)の役割について少し話す。

 

 

ここは いかん…

やはりヒトの手で植えられたものの、

その後のご都合によって、うまく管理がなされていない場所の木々はひ弱だ。

 

その木々と土壌が

災害の要因とまではならないにしても

災害時における被害を増加させる要因とはなりえてしまう。

 

考えさせられる場所であった。

 

 

 

その後、最初の地点に戻り、次の講義の講師である 唐木さん(コーディネイター)より話を聞き、再び信州大学農学部へと戻る。

 

室内での講義にて唐木さんより、平成18年の土砂災害時の様子を映像も交えて詳しく教わる。実際に被災から復旧まで携わった経験から、災害への向き合い方について「自助 共助 公助」の果たす役割について学ぶ。

 

提言では『森林の持つ多面的機能のうち、土砂災害防止機能、水源涵養機能を高めることで「減災」につながるのでは』との話や、災害のあと、地域住民自ら学ぶ「里山セミナー」などが行われたこと。隣接する諏訪方地区での災害後は、公民館にて地域の取り組みがあり、「災害に強い山」づくりとして広葉樹の植樹(保育ブロックの使用)が行われていることなどが紹介された。

 

また、伊那市では里山の整備に携わる人材を育成しようと市が中心となって「伊那市フォレスタークラブ」が発足し、森林整備の対価として自ら薪を確保する取り組み。上伊那の水道水源である「箕輪ダム」S55から13年の歳月をかけて建設も、降雨があるとダムが濁ってしまう事から、上流域の森林整備のための基金の設立などについても説明があった。

 

確かに事例にあった数十年に一度や観測史上最大級の降雨においては、土中の水分量が飽和状態となれば、森林が持つ水源涵養や土砂災害の防止機能も発揮できず、土砂災害はもたらされてしまう。


しかし唐木さんも言っていたように、本来の森が持つ豊かな土壌やしっかりとした根張りを持つ健康な木々があれば、必ず「減災」につながる働きは発揮される。

 

これを山麓に住む人達にどう伝え、現場で知り学び、自ら考え行動していくきっかけとできるか…。

 

森林インストラクターとして、防災の観点からの森との接しかたについて考える機会となった。