昨晩はちゃんこ鍋を堪能し、お酒も頂いたのでハイラックスは職場に置いてけぼり。

午後からは雨の予報でしたので、午前中に自転車で取りに向かいますが、その途中に寄り道。


ひら衛門のぽんぼこ日記


寄り道したのは、飯田市桐林にある塚原二子塚古墳(つかはらふたごづかこふん)。

今日は飯田市教育委員会の主催による現地見学会がありました。この古墳は約1500年前に造られた前方後円墳で、飯田市の史跡にも指定されています。


ちょうど自宅のある龍江から見ると天竜川の対岸に位置し、丘陵上にあることから自宅下からも見える身近な古墳として子供の頃から知っていました。(というか、友達と自転車に乗って埴輪のカケラ探しに行きました(汗))


たぬき野球観戦や自転車に乗るのも好きですが、考古学も大好き。高校の夏休みには市教育委員会の発掘調査に参加させてもらった事も。ですのでニュースなどで「発掘」や「発見」の文字を見ると心浮き立ちます。


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発掘調査をされている市教育委員会の生涯学習・スポーツ課文化財保護係の渋谷さんより、渡された資料を見ながら、調査概要や調査成果についての説明を受けます。

それによれば、この発掘調査は古墳をよりよい方法で守っていくために、はっきりしていなかった古墳の大きさを知ることを目的に3年前から行われていたとのこと。今年度はその最終年度にあたり、古墳の中央部(くびれ部)を調査し、古墳の表面を覆っていた「葺石」(ふきいし)の様子が明らかになったとのこと。

また、以前の調査にて出土した実物の埴輪を見ながら、配置と種類についても説明してくれました。


まずは今回の調査にて明らかになった「葺石」について、実際に発掘地点に移動して説明を受けます。
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お解かりになりますかしらん。ちょうど渋谷さんの足元から手を差す方向に向かって石積みが折れているのが。ここがいわゆる前方後円墳における「後円部」に向かう変化地点。


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これが横から見た葺石です。説明にもありましたが、石を葺いた形状ではなくどちらかといえば「石積み」。こうした形状は飯田下伊那では例がないそうです。しかもただ積んだのではなく、石積みを安定させるため背面に細かな石を入れる「裏込め」も確認できるとのこと。


またこの石積みは2段あったと思われ、1メートル程度の小段の上を設けた上にもう1段あったと想定されるとのこと。


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ううむ…以外に本格的です。ちゃんと石は控えがとられていますし、何より裏込め砕石があるとは…それなりの土木技術と知識がなければできません。


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石積みの上の小段からは割れた埴輪の破片も発掘されていました。昭和32年にはこの上側から出土しているとの事ですので、複数段にぐるりと埴輪が並べられていたのでしょうね。


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墳丘部に上って、古墳の全容の説明と推定される被葬位置について聞きました。埋葬された方も1500年後には畑になったり、どかどかと多くの人が登ってくる事までは思いもよらなんだでしょう。

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反対側に降りて、東側の葺石の状態も見ます。

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調査の結果、こちら側は後世に積まれた石積みを造る際の影響により、当時の石積みの形状ではないとのこと。また、墳丘下から出土した列を成した形での葺石が、石積みではなく水はけ悪いこの場所への「暗渠排水」である可能性もあるという事を聞きました。


数少ない情報から当時のものか、後世のものか判断しなければならない…大変です。


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遠くから見るとこんな感じ。古墳の範囲を確定するために随分と広い範囲を調査された事が解ります。


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今回の発掘にて古墳周囲の周溝の外縁部が明らかに。ちょうど立って差し示されている場所が一番外。これにより、まだ今後の調査待ちだそうですが、古墳の大きさはこれまで言われていた72メートルよりも大きく90メートルを超える可能性もあるとのこと。


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墳丘上からは周囲に点在する古墳群が、計画的に造られていたことを聞きました。つまりここはエジプトはギザのピラミッド群…というか「王家の谷」ならぬ「王家の丘」。これだけの古墳を造った豪族の力は相当のものだったと考えられますが、その影響範囲を計り知るには同時代の集落の調査も必要とのこと。


すっかり田舎と思われがちですが、古墳時代には中央政府の影響を強く受けた豪族が支配する場所だったのかも知れません。


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説明終了後も多くの参加者が出土品や担当者への質問を行っていました。さらなる調査により大切な史跡として保存活用していく事が求められています。