映画「魂萌え!」 | 茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~

映画「魂萌え!」

特に燃えるわけでも萌えるわけでもない・・変わりたいと言いながら、愛ルケするわけでもない・・はじけそうなのにはじけきれない、そんな59歳主婦の葛藤・・
魂萌え! 魂萌え!
関ロ敏子(風吹ジュン)は専業主婦、夫隆之(寺尾聰)が60歳の定年退職から3年を過ぎて心臓麻痺により、あの世へと他界する。それだけなら少々早めに夫に先立たれただけの普通の暮らしで終わるものを、夫の携帯に女性からのコールで逆上してしまった。実際10年間裏切り続けられてきたことに気付くのだが、怒りをぶつけるべき本人は既に故人、行き先のみえないままに彷徨うこととなる・・。
この映画、全体的にはかなり現実味のある物語になっている。あんまり出来の良くない息子(田中哲司)夫婦、よくありそうなそれなりの関係の娘(常盤貴子)、そして仲のいい高校生からの同期でお茶のみ友達の主婦仲間達、極めてどこにもあるよな平凡なお話に流れていきそうな題材が揃っている。・・ちょっぴり冒険もあったりしてそこそこ面白いのだが・・せっかくカプセルホテルの支配人(豊川悦司)も登場したりするのだから、おもいっきりドラマチックな展開をと、思いたいのに、ドラマは宮里しげ子(加藤治子)のお話の中だけのことのようで、申し訳ないが期待を外しちゃってる。
一番の見所は、伊藤昭子(三田佳子)との対決シーンかな、物腰も柔らかく上品な言葉遣いの昭子と、世間知らずに純粋培養された敏子が向き合うと、それぞれの背景が重くのしかかる、ぶつかる火花もこころなしか輝きを失っているような印象を受けるが、この時の二人の思いは筆舌に難いことだろう・・。
ところで、敏子が訪れるカプセルホテルも映画館も立川だったので、なんだか映画と現実が混然とする変な感覚を覚えながら観ていた。(立川シネマシティ)

魂萌え!