第三十八回映画レビュー~アデライン、100年目の恋~ | novel2017のブログ

不老不死の映画には「死」というテーマがつきまとう。それはベンジャミンバトンにしろ永遠に美しく…にしろグリーンマイルにしろ、常に「死」が重くのしかかる。人間にとって一番身近な恐怖だから。

 

この映画の主人公、アデラインもある事故がきっかけで衰え知らず、いわゆる"不老"の美女のまま100年生き続けている。ゆえに政府に追われ、名前を変え、住まいを転々としている彼女は長い間孤独を貫いてきた。"100年老いることなく生き続けいる"という事実をひた隠しにしたまま。。

そこである男性エリスと出会う。初めはしつこく話しかける彼を受け流すアデラインも、次第に心を開いていく。

 

ストーリー自体は割とシンプルで心の変化も素直なのでとても違和感なく作品に入り込める。不老不死は非現実的でファンタジーではあるが、人間だれしも想像するため最も想いを馳せやすいシチュエーションのひとつかもしれない。

 ただこの映画のおもしろさは、不老ゆえの「死」への意識ではなく、20世紀初頭の旦那との出会い、60年代の恋、21世紀にも新たな恋、と変わらぬ美貌で何度も恋をするところだ。だからこその「アデライン 100年目の濃い」なのだ。

詳しい内容はぜひ観て確認してほしいが、アデライン役を演じるブレイクライブリーが見事だってことは伝えておく。ハリソンフォードも重要な人物として登場するがこちらも本当に絶妙。アデラインを昔好きだった女性に重ねて物思いに耽るシーンは変態そのもの。そりゃ隣にいる嫁はん拗ねるよ。「私が二番目だってことを意識させないで」って。かわゆす。

不老不死は絶妙な設定だ。「死」という普遍的なテーマに取り組む事もできるし、不老不死ゆえの絶望も喜びも悲しみも表せる。脚本家としては格好の題材に違いない。

 

しかしこの映画の見どころはさっきも言った通り、「死」でも「恋」でもなく、「秘密」を守り続けることの息苦しさ、それが解放される安らぎ、安心にある。自分に嘘はつかない、愛する人にはきちんと伝える。そんな当たり前のメッセージを不老というたいそうな設定で伝えている。いかにも映画らしい映画と言えるだろう。醍醐味と言い換えても差し支えない。

 

 

ただ最後の語りはりいるかな。彗星の語りだけでもよかった気もするけど、まあ一貫して語りを入れるというスタンスだから構わないか。

 

表紙に騙されないでよかった。面白い映画です。オススメ。