ロンドンの『オペラ座の怪人』(浦澄彬の批評アーカイブ13) | 作家・土居豊の批評 その他の文章

ロンドンの『オペラ座の怪人』(浦澄彬の批評アーカイブ13)

ロンドン通信・その3 (2001.8.5)
ロンドンでミュージカルを観た。『オペラ座の怪人』である。

日本で劇団四季がやったものを何度か観ているので、比較するのが楽しみだった。
 
ピカデリーサーカスのハー・マジェスティーズ劇場でロングランしている。チケットはその日もソールドアウト
だった。日本から予約していってよかった。
劇場は古く、趣味の良い内装で、ほどよい広さだった。観光客が
多いが、地元の人もけっこう来ていた。始まるのが7時45分なので、仕事帰りでも充分に間に合う。
 
日本では珍しい生オーケストラの演奏で序曲が始まると、ぐっと作品世界に引き込まれる。役者はみな、
芝居が達者で、真剣にやっている。歌も見事なものだ。
演出は、四季のものより、ロマンティックさを強調し
ていて、いかにも大人のミュージカルだった。
日本では、まだまだミュージカルは女子供のものと思われがち
だが、ロンドンでは大人の男が楽しめる雰囲気があった。
 
残念だったのは、幕間の休憩が短くて、せっかくバーで一杯と思っていたのに、その暇がなかったことだ。
終わって、スタンディング・オベーションになる。前の人が立つと、見えなくなるので、致し方なくみんな立つ
というのが実際のところだが、立ってみると、だんだん気分が盛り上がるものだ。
 
外に出ると、劇場がきれいにライトアップされていて、雰囲気に酔える。ロンドンの夜は、まだまだこれから
といった風情だった。