五輪雑感〜節電、計画停電はどこいった? | 作家・土居豊の批評 その他の文章

五輪雑感〜節電、計画停電はどこいった?

五輪雑感~節電、計画停電はどこいった?
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ロンドンオリンピックが始まって、NHKも民放も、テレビは見事にオリンピック中継一色になりました。
ちょっと前まで節電だの計画停電だの脅かしてたくせに、今や、国会議員までオリンピックをみて寝不足だとか笑っている。
これで甲子園の高校野球が始まったら、もはや節電や計画停電なんか、なかったことになりそう。
NHKにいたっては、いくら五輪だといっても、朝のニュースの代わりに、開会式の生中継を延々と全部流すのはやめてくいただきたいものです。
土曜日でも普通に仕事の人はいるのだし、毎日、朝のニュースで天気予報や最新情報を得ている人には、大変迷惑でした。
国内にも、報道すべきニュースがあります。五輪中継の公益性は、ニュースより低いはずです。
ついでながら、開会式の中継の延長で、朝の連続ドラマ『梅ちゃん先生』がいつまで待っても始まらないので妻が激怒し、とばっちりをくらって非常に迷惑でした、というのは蛇足ですが。
もっとも、さすがイギリス。開会式の演出は見事でした。ビートルズはもとより、メアリーポピンズから007まで、やはり、コンテンツの豊富な国は強い!と感じました。もしかして、次回のトルコ、イスタンブールでも、映画『ロシアより愛をこめて』つながりで、007が登場したりして?
ところで、肝心の競技結果の報道ですが、「金には届きませんでしたが、それでも、~~メダルを獲得しました」というマスコミの報じ方には、おそらく、潜在意識に、「わしらの頃は金メダルだったのに、今の若いやつらは」という、ロートルの身勝手な嘆きと憤懣が反映されているように思います。
銅メダルでも、立派なものではないですか。
もし、国民が、オリンピックで金メダルの数が少ないことに不満を感じるのなら、今から、次のオリンピックでの金メダル獲得に向けて、国民的コンセンサスを作って、選手養成に税金を投入すればいいのです。
まさに、「2位(3位)ではダメなんですか?」ということだと思います。
それにしても、オリンピックのメダリストのコメントの「やばいっすね…」に、時代の流れを感じてしまう自分に、寄る年波を感じてしまいました。
ただ、連日のオリンピック中継をみるにつけても、どうにも納得がいかないのは、7月上旬に集中的に行われていた、節電の過剰な要請と、計画停電の脅迫ハガキです。
あれは、結局、どうなったのでしょう?
連日のオリンピック中継で、深夜にいたるまでテレビが視聴されているので、きっと普段より家庭の消費電力は増えているはずです。しかも、もうすぐ甲子園が始まれば、昼間から夜中まで、ずっとテレビがつけっぱなし、ということになる家庭も多いのでしょう。
それでも、電力予報が80%台でクリアできているのなら、あの節電要請と、計画停電は、やはり脅しだったのだ、と思います。
それにも増して、腹が立つのは、連日の猛暑で、一日に何千人も、熱中症で搬送され、亡くなる人が出ていることです。これは、もはや国難レベルだと思います。
日本の猛暑は、昔と違って、「涼をとる」というようなレベルの対策ではしのげないようになっているのでしょう。
節電で冷房を推奨できないというなら、勤務時間をずらすとか、予想気温によっては猛暑休暇を設定するとか、猛暑日には勤務や学校を休むという条例を作るとか、なにか対策を考えてはどうでしょう? 特に、子どもやお年寄りの熱中症被害は、かけ声だけでは防げないと思います。
亜熱帯の国になったのだ、という認識で、国をあげて熱中症予防に対策をするべきだと思うのです。
オリンピックの行われているロンドンが、最高気温十何度だとかいうのを聞くと、ますますそういう気がしてきます。