地下式原発推進で超党派議連 | 作家・土居豊の批評 その他の文章

地下式原発推進で超党派議連

いまだに原子力のバラ色の夢から醒めない老人達

【地下式原発推進で超党派議連(時事)
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2011053100809
与野党の有志による「地下式原子力発電所政策推進議員連盟」が31日発足し、衆院議員会館で初会合を開いた。たちあがれ日本の平沼赳夫代表が会長に就任。自民党の森喜朗元首相、民主党の石井一副代表らが顧問となり、二十数人が出席した。政界再編や大連立を視野に入れた動きとの見方もある。
 平沼氏は福島第1原発事故を受け、「地下に原発を造ることは安全性の面から意義がある」と強調。地下式原発は耐震性に優れ、放射性物質が漏れても地中に封じ込められる利点があるという。(2011/05/31-19:00)】

いまだに原子力のバラ色の夢から醒めない老人達の妄言としかいいようがありません。
あるいは、単純に、連立を組むための口実だとしか思えません。
地下にあろうが宇宙にあろうが、原子力を安全に使う技術はまだ確立されていないわけであり、それをこの期に及んで政治的スローガンにするロートルぶりには、絶望的になります。
核開発や原子物理学の科学的価値は否定しませんが、その技術に国家の命運を託するのは、もはや時代遅れだと気づいてほしいものです。
戦艦大和で国を守ろうとした昭和の日本軍のようなものだといえましょう。
20世紀までは、原子力はクリーンエネルギーだ、という印象がまだ通用していました。だから、鉄腕アトムも、サイボーグ009も、原子力で動いていることになっていたのです。
アトムやウランは善玉でも、プルートはあきらかに悪役です。
現実の核物質でも、さすがにプルトニウムを無害だと主張するのは、人間の感覚として無理があると思います。
少なくとも若い世代に対して、原子力がバラ色の新技術だとするイメージを植え付けるのは、もはや無理というものでしょう。
政治家なら、せめてもっと夢のある未来を語ってほしいものです。地下に埋めた核施設に未来を託するなどというストーリーからは、宇宙戦艦ヤマトの地下都市や、エヴァンゲリオンのセントラルドグマといった、破滅に瀕した人類のイメージしか浮かんで来ないのは、私だけかもしれませんが。