リサイクルが放射能汚染を拡大? | 作家・土居豊の批評 その他の文章

リサイクルが放射能汚染を拡大?

リサイクルが放射能汚染を拡大?

【福島県の下水汚泥など、高濃度の放射性物質検出(読売新聞 5月2日 )
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110501-OYT1T00537.htm
東京電力福島第一原発事故を巡り、福島県は1日、県中浄化センター(郡山市)で処理した下水汚泥と、汚泥を焼却して乾燥させた溶融スラグから高濃度の放射性物質が検出されたと発表した。
県は放射性物質を含む雨水が大量に流れ込んだためとみている。汚泥の一部は再利用目的で県外のセメント会社に搬送されており、県は追跡調査を行う。また、放射性物質を含む汚泥の取り扱い方には国の基準がなく、県は同日、処理方法や作業員の安全確保の方針などを定めるよう国に要請した。
県によると、4月22日に溶融炉周辺の放射線量を測った際、郡山市中心部の数値の数倍に達したため、28日に汚泥とスラグの濃度を測定。汚泥は放射性セシウムが1キロ・グラムあたり2万6400ベクレル、スラグは同33万4000ベクレルが検出された。事故前に処理したスラグの1300倍以上の濃度となっている。】

このニュースを聞いたときは、背筋がぞっとしました。
まったく、思いがけない経路で放射能汚染は拡散するものですね。
エントロピーの増大、というやつでしょうか。
環境中に出てしまった放射性物質を拡散させないのがいかに困難か、ということを感じました。
エコロジーのリサイクルが、この場合はあだになったということなのでしょう。
それにしても、こうなれば、ありとあらゆる公共施設で、放射線を常時計測する必要があるように思います。もちろん、個人でもガイガーカウンターが必需品となる、悪夢のような未来が現実となったのでしょうか?
そのうちに、スマートフォンのアプリでガイガーカウンターが人気商品となるかも?
というような皮肉のひとつも言いたくなります。
実際には、今回のスラグの汚染は経路が追跡できるでしょう。しかし、違うところでまたセメントに汚染が紛れ込めば、身近な建材にひそかに放射性物質が混ざっていた、というパニック映画のような事態が実現しかねません。
改めて、放射能汚染の計り難さを痛感するニュースでした。