■日韓関係は両国の国内政治と密接に絡み合う現実 澤田克己(記事)■

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サンデー毎日

 

 韓国ラジオ局のトーク番組に出演していた政治評論家が、高市早苗自民党総裁について「現実的姿勢がいつまで続くのか」と懸念していた。靖国神社への参拝見送り方針を肯定的に評価しつつ、「支持率が低迷したら、対外強硬姿勢でばん回しようとするのではないか。そうしたら韓日関係が心配だ」と語ったのだ。李在明(イ・ジェミョン)大統領について、日本で語られていたことの裏返しである。

 

  一方で、高市氏の支持者には参拝見送りを「仕方ない」と話す人も少なくないようだ。これも、李氏を支持する進歩派が日本に融和的な外交路線に理解を示していることに重なる。なかなか興味深い現象である。

 

 ◇李大統領への批判は広がらず

  李氏は、8月の日韓首脳会談で歴史認識問題を正面から取り上げなかった。魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長は、歴史問題について「具体的な懸案というより『この問題をどう扱えばいいか』『どのように扱えば現在と未来の協力を進められるか』といった哲学的認識に基づいたアプローチで論議された」と記者団に説明した。

 

  批判が出なかったわけではない。日本批判の急先鋒ともいえる団体・民族問題研究所は「歴史の正義から目を背けた会談結果に失望を禁じ得ない」という声明を出した。進歩派のハンギョレ新聞も「歴史と安保で譲歩した李大統領、強い物足りなさを残した訪日」という社説を掲げた。

 

  だが、それ以上の広がりは見られなかった。ハンギョレの社説も「日本との関係改善を通じて何を得て、何を失うことになるのか、冷静に振り返ってみることを望む」と弱気だ。

 

  背景には、李氏を強く支持する進歩派の世論がある。全国指標調査という定例世論調査によると、日韓首脳会談で「成果があった」という回答は54%だったが、進歩派の回答者に限ると77%にはね上がった。歴史認識問題へのこだわりが強いとされる進歩派だが、進歩派政権への忠誠心の方が先に立つということだろう。ちなみに中道で「成果あり」としたのは59%、保守派は29%だった。

 

◇歴史問題はケリのつかない問題  

 趙顕(チョ・ヒョン)外相の発信も印象的だ。任命に先立って開かれた国会の人事聴聞会では「歴史問題にケリを付けるのは不可能だ。我々が強く促して日本が変わるとは思えない。辛抱強く、日本が自ら徐々に変わることを目標としなければならない」と語った。

 

  趙氏は日本の歴史教育に問題があるとも付け加えたが、進歩派には不満の残る内容だ。ただ歴史問題を取り上げたのは与党議員だった。話しぶりから日本に強硬な人なのだろうと思わせたが、与党議員であるだけに不服でも引き下がざるをえないようだった。

  8月の日韓首脳会談後にはテレビのインタビュー番組で同じように追及されたが、趙氏はここでも「無理強いして解決できる問題ではない」という説明を貫いた。それでも、進歩派から強い反発が出ることはなかった。  保守派の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権だった昨年8月、金泰孝(キム・テヒョ)国家安保室第1次長が似たような発言をした時の反応は全く違った。

 

  金氏はテレビのインタビューで、もっと自信を持って日本に向き合うべきだと述べつつ、歴史認識問題について「重要なのは日本の気持ちだ。(謝ろうという)気持ちのない人から無理やり謝罪を引き出したところで、それに意味があるのか」と語った。趙氏の発言と大差ないように思えるのだが、この時は進歩派が猛反発していた。

 

  韓国の進歩派勢力が見せる姿勢は、党派色の強いものだ。ただ、それだけに李政権は柔軟な対日外交を展開しやすいというのが現状だ。ただ日本の首相が靖国参拝を強行するようなことがあれば、状況は一気に変わってしまうかもしれない。日韓関係は、互いの国内政治と密接に絡み合っていると改めて感じさせる局面である。  

 澤田克己(さわだ・かつみ) 毎日新聞論説委員

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<私の意見>

 最近の韓国は表立った反日の国民が若い人を中心に減少したように思います。

 先般のノーベル賞受賞のネット掲示板も見ていたのですが、以前と比較して客観的な評価のコメントが多かったです。韓国の基礎科学について長期的な観点が不足し対応がまずいことと、その点は日本が優れていると書き込む人が多かったです。

 

 逆に日本人の方が、偉そうな書き方をし、相手を煽る表現が目立ち、「日本大丈夫か」と懸念しました。最近になり日本人に余裕がなくなってきているのかなと危惧すら湧いてきました。相手方がきちんとした話をしているというのに対しては、懐を深く対応すべきではないでしょうか。もちろん、従来からの韓国(人)の対応については目に余るものが多いのも確かですが、「虎の威を借る狐」的な態度はやはり好ましくないと思います。

 

 今回の記事は毎日新聞のものなので、韓国寄りであることは間違いないのですが、趙顕(チョ・ヒョン)外相は対日のスタイルとして、かつての文 在寅(ムン・ジェイン)の政権時ファイティングスタイルではなく若干緩めの対応に変化してきたことは間違いないです。前大統領の尹 錫悦(ユン・ソンニョル)の対応で日本との軋轢が軽減され外交上のメリットだけでなく、国民同士の軋轢を減少させることで、対外的(特に西側諸国に対して)にも安定的な状況になったのを目の当たりにしたことかもしれません。

 

 最近のYou Tubeでも韓国人による日本をほめる動画がやたらアップされているのが目立ちます。そろいもそろって、動画作成者が日本に定期的にやってきて、あるいは、定期的に韓国から友人のを招き、東京、大阪、九州、名古屋、奈良に行き鮨、和食、牛丼、とんかつ、(和式)カレーライス、お好み焼き、たこ焼き、和菓子、抹茶を食し、韓国のバッタものではなく本場物は素晴らしい、新幹線をはじめとする電車、地下鉄は素晴らしい、空が青く、空気がきれい、タクシーが自動ドアで対応が良い、まわりの人が優しく助けてくれる といったもので、褒めるほどに日本人から「いいね」が付き登録が進むという構造です。

 

 決して否定的に記載することはしませんが、You Tubeの運営は5万人が登録すれば、それなりの収入(最近は広告収入が大幅に減ったと言われますが)があり、さらに10万人が登録されれば、「銀の盾」が贈られるとともに、相当な収入が得られます。

 

 言い方が悪いですが日本人を上手に丸め込み、おだてれば、高収入の生活ができるという構造になっているのも事実です。

 さらに、このことが韓国人のコミュニティで間違いなくこの情報は共有化されており、最初はゲストで出ていた韓国人がいつの間にか新たな運営主になることが多く、また美男美女の運営者の動画は圧倒的に再生回数が伸びている事実があります。

 日本をおだてて、日本人の登録者を増やせば、生活ができるという構造が確立しており、数年前は少数でしたが、現在はどんどん増加しています。運営者はかつては政治的なものもありましたが、最近のものは「和食」「日本文化」「日本の清潔さ」「日本人の親切さ」「静かさ」「街並みの美しさ」に限定され、決して政治的なことは語らないということです。

 

 さらに重要なのは、決して「韓国起源」を語らず、「えびせん」「チョコポッキー」「カラオケ」などについても日本から発生したことをことさら強調し、知らない韓国人に伝えるという「正義の味方」を強調して視聴者の確保に努めるものまで表れました。凄い努力だと思います。

 

 運営者はともかく、あげられた動画に付く韓国人の反応の「ハングルコメント」を見ると日本に対する肯定的なものが結構多く、彼らが韓国における日本感情を良くしているのは間違いないです。もともと動画制作者の意図もわかっているので親日的な韓国人が視聴しているのかもしれませんが、やはり、日本への往来が増加した中で、一定量の親日的な絶対人数が増加したのは間違いなく、動画に出てきた運営者の知人も最初に動画に出てきた際は不信な目で日本を見ていましたが、時間をおうごと、何日か経過するごと、さらに何回も登場するごとに、明らかに柔和な顔に変貌していき、「日本にまた来たい」と発言するものまで出ます。もちろんupされてない動画では「やはり日本に来るべきではなかった」と回答する人もいるのでしょうけど(中国人のものは、そういうものが結構あります)、韓国人運営者はそのあたり上手な対応をしています。

 

 作成の動機はともあれ、日本に害を加えない韓国人が相当数出てくることについては僕も肯定したいと感じています。

 特に驚くのは大阪城や熊本城に積極的に行き、それぞれを否定しないことです。羽柴秀吉や加藤清正は韓国人にとって仇敵であり、これまでであれば全否定されるのですが、「それはそれ、これはこれ」という人間もそれなりにいることに驚きました。

 

 但し、日本人によくしてもらい、男女にかかわらずやたら感激の涙を流すのはうさん臭くて理解ができませんけどね。

 

 もちろん80年代、90年代に思春期を過ごした「反日ごりごりの人間」はなかなか考え方を変えられないでしょうけど、今の若い人たちがその世代の大人(親)をあえて呼び、一生懸命日本のいいところを説得のするような口調で話すうちに対象者が真の日本の姿を見て肯定的な言葉を思わず口にするものがupされたときは驚きました。

 

 その中でも、がちがちの反日世代の人々が「そういえば、自分の親は日本人は自分たちをいじめなかったと言っていたなあ」という言葉をポロリと言い始めたには、1950年代後半から2000年付近までの徹底した反日教育を刷り込まれたことにより、世界一、二位を争う「反日モンスター集団」が出来上がったということを認識しました。

 

 文政権までの反日主義に韓国人自身も疲れ切ったのもあるのだと思いますが、今後政治的にどのような動きになるかはまだわかりません。

 いつも僕は記載しますが、「振り子」は必ず左右に揺れます。左に揺れれば、次は右に行き、右に行けば左に振られます。

 

 台湾のように地政学リスクを抱えていると中国という共通の敵がある限り、米国の同盟国でもある日本と穏便にあるいは強力に絆を強めることで自分たちの生きる道を探るという考え方に至るのだと思っています。

 

 長らく親日的な教育を受けてきたのと統治下の日本の優れた施設が残っているのを目の当たりにして、いきなり反日的になるとは思いませんが、仮に中国との関係が対立関係ではなく、香港を英国が統治してきたときの「中国=香港関係」が築けていたら、もしかすると日本との関係は現在のような蜜月関係ではなく、もう少し異なった状況になっていたかもしれません。

 岸信介が首相であった頃から、一貫して台湾と良好関係を持ち続ける人間が自民党内に居続けたことも今の日台関係を築けているのではないかと推測されます。

 

 さて、日韓関係に戻りますが、韓国側からは慰安婦問題について新たな対立措置を取る行動には出てきていません。

 ドイツの慰安婦像も向こうの裁判所で撤去の判決がくだり、その旨を現地のコミュニティに通知しており、これに対し、従来支援をし続けていた韓国政府がどのような行動を取るでしょうか。

 現地の韓国コミュニティは何への使命感かわかりませんが、反日行動をいつまでも続けています。

 

 僕は韓国の本気度を見るのはやはりソウルの慰安婦像の行方です。現在日本大使館が建設できない理由として日本大使館前に建てられた慰安婦像が障害の大きな理由だと思います。加えて構造物の高さに対しても周辺に高いビルがあるにもかかわらず6階までと嫌がらせのような制約を課していますが、これらが除かれると逆に日本大使館を建設しない理由がなくなり、ここが日韓関係のスタートになるのではないかと思っています。

 慰安婦像を撤去はしないにしてもウィーン条約を守る観点から移動することは可能だと思いますが、行動に出るのにはまだ時間を要しますが、今の若い人たちが主導する時期になれば、すんなりと行われる時期はあるかもしれません。

 

 しかし今のところ、歴史問題に固執する人間が韓国に相当数いますし、米国政府からまるで信用されていない李大統領が国内的にも政権運営で求心力をなくした場合、節操のないこの大統領が自分の人気取りのため、強い反日行動に転換することは簡単に起こりえます。

 日韓基本条約の精神を理解したがらない人間がいつでも動き出す背景は残っています。

 

 日本が追加して謝るということは、日本国民が許しませんが、僕が考える転換期はやはり日本大使館建設のタイミングだと思っています。

 このタイミングで韓国が仕掛けてくるのは天皇陛下の韓国御訪問打診です。先進国だけでなく、中国、東南アジアにも陛下は御訪問されており、いまだに韓国には御訪問されていません。かつて李明博(イ・ミョンバク)元大統領が、日本との間でかねて懸案になっている天皇陛下の訪韓に関し「訪問したいのであれば、(日本の植民地支配からの)独立運動で亡くなった方々を訪ねて心から謝罪するのならよい」と述べていましたし、ぶさいくな顔で超有名な文喜相(ムン・ヒサン)元国会議長で「陛下が韓国を訪問されたい」と勝手なことを言っていました。

 

 韓国社会の「天皇」に対するスタンスを最も端的に示しているのは、「日王」という単語です。近年韓国では日本国天皇について話題にするとき「天皇(チョンファン)」という単語ではなく「日王(イルワン)」という単語を使用していますが、あまりそのことが話題にのぼらなくなっています。

 

 わからない方に補足しておくと、海外では天皇は「皇帝_Emperor」と表記されています。皇帝は一人しかおらずその下に「王_King」が存在します。

 中国の宗主はEmperorで、朝鮮半島の支配者はその下にいるKingという歴史です。

 日中間は、聖徳太子の時代に「日出処の天子から日沈むところの天子」に書状が出されました。

 ここで日中は並列となり、それを世界が認知し、天皇の位置付けは皇帝_Emperorで定着していますが、韓国としては歴史的には朝鮮は日本に文化を伝えていた「中華思想」では上座に位置するという認識があり、朝鮮の弟分が日本で日本が中国と並ぶということを許せないこだわりから敢えて「皇」の文字をすげ替え「日王_日本の王様」という表現にしています。

 

 表立っては示していませんが、韓国の悲願は陛下の御訪問をいただき、「なんらかのお言葉」を頂戴することにあると思います。あわよくば、陛下と韓国大統領が同席する場合、韓国大統領が天皇陛下に対して、申し入れあるいは叱責を残すことをしたいと考えているのではないでしょうか。

 かつて、中国が昭和天皇訪中時に、江沢民があえて「金印」を渡そうとした歴史があります。これはかつて中国皇帝が卑弥呼に下知(上から下の者に対し)するのになぞられたものです。危うく受け取る場面になりましたが、外務省がかろうじて阻止しました。

 日本側としては、きちんと天皇として認識いただくことに加え、韓国側から訪問にあたって謝罪することを要求しないことが必要と考えます。

 陛下が訪問する先で万が一、元慰安婦だの自称徴用工などが予定外に現れたりし、トランプ大統領に行った時のようなハプニングがあれば、その後は収拾がつかなくなることは必然です。

 

 但し、現在の陛下は思いやり深い方ですから、お父上の上皇様の行動をご覧になっておられることから、韓国側に対して一定の御配慮されたお言葉を必ず述べられと思います。但しそのためには当然韓国側の覚悟があってのことです。歴史問題で「完全に不可逆的行動」を担保する行動が必然だと考えています。