
【東京・春・音楽祭】
ワーグナー/舞台神聖祝典劇「パルジファル」
アムフォルタス(バリトン):クリスティアン・ゲルハーヘル
ティトゥレル(バス・バリトン):水鳥正樹
グルネマンツ(バス):タレク・ナズミ
パルジファル(テノール):スチュアート・スケルトン
クリングゾル(バス):シム・インスン
クンドリ(メゾ・ソプラノ):ターニャ・アリアーネ・パウムガルトナー
第1の聖杯騎士(テノール):大槻孝志
第2の聖杯騎士(バリトン):杉浦隆大
第1の小姓(メゾ・ソプラノ):秋本悠希
第2の小姓(メゾ・ソプラノ):金子美香
第3の小姓(テノール):土崎 譲
第4の小姓(テノール):谷口耕平
クリングゾルの魔法の乙女たち
第1の娘(ソプラノ):相原里美
第2の娘(ソプラノ):今野沙知恵
第3の娘(メゾ・ソプラノ):杉山由紀
第4の娘(ソプラノ):佐々木麻子
第5の娘(ソプラノ):松田万美江
第6の娘(メゾ・ソプラノ):鳥谷尚子
アルトの声(メゾ・ソプラノ):金子美香
指揮:マレク・ヤノフスキ
演奏:NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:エベルハト・フリードリヒ、西口彰浩
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン
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今年も東京春音楽祭のワーグナーを聴くことができました。毎春楽しみにしています。昨年は「トリスタンとイゾルデ」でしたが、ワーグナーは舞台がなくても音楽だけで十分に楽しめます。東京二期会なんかも舞台装置にこだわらず、演奏会形式で毎年1~2演目やってくれたらと思うのですが。
もうしばらくすると、東京文化会館は改修工事に入りますが、この音楽祭はどうなるのでしょうかね。
ヤノフスキももう86歳になりますからいつまで指揮していただけるのでしょうか。
毎年よく日本に来てくれますよね。
来年はどうなるのでしょうか。
日本でワーグナーを聴くのは今の時代になってもなかなか困難なことですが、この音楽祭での演奏は渾身の演奏が聴けてファンとしては最高です。
N響が渾身の演奏をおこなっていることも特筆できます。
昨年のコンサートマスターは客演でメトロポリタン歌劇場のコンマスであるベンジャミン・ボウマンでしたが、今年は郷古廉さんが左からスライドしていました。
ヤノフスキさんがOKしたのか郷古さんが自信が付いたのかはわかりませんが、日本のオーケストラが世界最高水準に匹敵するワーグナーを演奏してもらえればそれで充分です。
冒頭の前奏曲から弦は濁りがなく、厚みのあるそれでいて透明な音を響かせていました。新国立劇場のピットでも奏でますが、東京交響楽団の弦より数段優れていますね(東京フィルはワーグナーでは新国のピットに入りませんが当然至極です。)
N響のヴァイオリン群はどこまでも美しく素直に感心します。コントラバス、チェロの低音の厚みも以前よりも増してよくなっていますよ。ワーグナーサウンドを十全に出し切っています。ヤノフスキの指導はもちろんあるのでしょうけど、N響の演奏水準は非常に高く、木管、金管も安定感があるのはもちろんですが表現力に優れていました。
とりわけオーボエの𠮷村結実の音色が素晴らしかったです。僕は彼女のオーボエを聞きほれていました。
さて歌手ですが、スチャート・スケルトンをはじめとして万全な歌い手でした。スケルトンの体型だけはファルスタッフを彷彿としますが、歌は抜群ですね。ローエングリンを歌わせても抜群ですが、感情移入できます。タレク・ナズミも表現力があって精度の高い歌を展開していました。
休憩時間を除いて約4時間弱のオペラでしたが、無駄な時間が1秒もなかったです。
東京オペラシンガーズの合唱も精度が高く透明感とまた重心の低い素晴らしい演奏でした。何度でも聞きたいです。
さてまた観客の話。この日も「なんだかなあ」でした。
昨年の土曜日の「トリスタンとイゾルデ」で第3幕を終わったところで、無音にひたろうかとしたところ、バカ客が無頓着に拍手を始めようとしたら、ヤノフスキさんが怒って拍手を止めるシーンがりました。
この日も同様に第1幕はきちんと静寂が保たれましたが、第2幕の終了時に指揮者が無音を求める対応を取ったにも関わらず1階右のクズ客が拍手をはじめ、周辺から「シッ」という攻撃を受け、無音になってからの拍手となりました。話はここで終わらず、第3幕が終了した時もさらに音が止まったらほぼ同じ客らしきウルトラ・クズ客がまた無音を無視する展開でした。コイツは もしかして昨年の「拍手マン」だったのでしょうか。
学習能力がまるでないのか目立ちたいのか、嫌われ者なのか知りませんが「ほんの5秒ほど」が我慢できないのでしょうか。
さて、この音楽祭シリーズ来年はどのようになるのでしょうか。
ヤノフスキが退任した後、誰がこの音楽祭のタクトを引き継いでくれるでしょうか。長くはむずかしいかもしれませんが、ルイージに振ってもらいたいと思っています。