ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2024大和ハウス Special
11月12日(火) 19時開演 サントリーホール
プロコフィエフ/ヴァイオン協奏曲第1番ニ長調 op.19 *
マーラー/交響曲第5番嬰ハ短調
ヴァイオリン:五嶋みどり*
指揮:アンドリス・ネルソンス
演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
今年もウィーン・フィルが来日してくれました。
毎年のようにこのオーケストラが聴けることは幸せなことです。ベルリン・フィルも毎年来てくれるとさらにうれしいことなんですけどね。来年の万博には来ますけどね。
ネルソンスはかつてボストン交響楽団と今回演奏する5番を来日公演で演奏するはずでしたが、キャンセルとなり、シャルル・デュトワが代わりに指揮棒を振りましたが、
この指揮者で聴くことが懸案事項として残っていました。
昨年はボストン交響楽団と来日して6番を聴かせてくれましたが、オーケストラが「いっぱい、いっぱい」で演奏していました。
この指揮者のやや遅めのテンポであれだけ張りを持って演奏するのは本当に大変でしょうね。
第5番も同様でしょうね。
冒頭に楽団長ダニエル・フロシャウアーさんが小澤征爾さん追悼の挨拶をされました。
そしてG線上のアリアの演奏がありました。もちろん拍手なしです。
さて演奏会の1曲目は五嶋さんによるプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番です。レアな曲でさらに難曲です。ソリストは演奏中あらゆるテクニックを駆使する必要があります。
五嶋さんはなんでもできる人ですが、ウィーン・フィルと融合している感じはなく、孤高の演奏家でした。
オーケストラの方を一瞥もせず、耳だけ向け一人で演奏していました。五嶋さんだから許されるのでしょうね。彼女が宮本武蔵のように見えた演奏でした。彼女が天才であることはあらためて認識しました。
そしてアンコール曲。
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番 BWV 1006より I.プレリュード
彼女の独壇場でした。
彼女のアンコールのおかげで時間がおしてしまい、ウィーンフィルのアンコール曲ウィンナー・ワルツはなかったです。マーラーのプログラムの下に楽譜があったのですが、開かれることはなかったです。少し残念(本音はとても残念)。
マーラーの交響曲5番でしたが、予想通りのゆったりとしたテンポでネルソンス節炸裂です。
よくこの解釈をウィーンフィルが受け入れたと感心します。相当普通の演奏と異なります。かつて小澤征爾さんの代役としてこの場で指揮していた時はウィーン・フィルという怪物に指揮をさせてもらってた感がありありでしたが、今はまるで違います。
ネルソンスは譜面台にへばりつき、左の肩肘を譜面台に置きながらひとつひとつキーを出しながら各奏者に指示を出していました。異様な姿です。
テンポ(拍子)をまるで取らず、演奏の出だしのキーを細かく出し続けていました。
ウィーン・フィルはこの指揮者に従っていると考えていいですね。昨年のソヒエフはウィーン・フィルに大変に気を使って指揮していましたが、ネルソンスは完全に自分のアイデンティティを貫いていました。
凄まじい演奏でウィーン・フィルがへたりながら演奏するのを初めて聞きました。
名手の金管もところどころミスを重ねており、限界いっぱいに演奏していました。
そういう演奏を聴けたことが感動でした。
何も言うことはありません。
なお、びっくりしたのはアンドリス・ネルソンスが有する力士のような「出っ張った腹」が思いっきり引っ込んでいたことです。インバルやデュトワも素敵なお腹をしていますが、ネルソンスも若くしてとても張り出していたのがまるで目立たなくなりました。妊婦さんようないつもの衣装に全く張りなく、普通の人になっていました。ダイエットを頑張ったのか、どこか体がすぐれないかはわかりませんが、今年の夏のサイトウキネンはキャンセルしましたね。ブラームスの予定でしたけど。
今回、ウィーン・フィルの「英雄の生涯」も聴きたかったのですがこれについては宿題ということにしたいと思います。昨年の「ツァラツストラはかく語りき」はとても感心したのでいずれ聴きたいです。
いずれ、ネルソンスにはショスタコーヴィチ(第5番以外)をひっさげてボストンかゲヴァントハウスでの演奏を聴きたいです。
ウィーン・フィルについてはブルックナーの交響曲を聴きたいです。
2008年のムーティによる来日公演で第2番を聴いたのですが、第5番以降の演奏を聴きたいです。第7番~第9番は来日公演で実演していませんよね。小澤さんが9番をやる予定も食道がんでキャンセルになり結局聴けませんでした。
来年はウィーン国立歌劇場(ばらの騎士!!)では来日しますが、ウィーン・フィルでの公演はありませんね。