昨年も、たくさんの楽しいコンサートに出会えました。特に11月以降は海外から来日公演もあり、日本のオーケストラの位置づけも自分自身で行ってみました。

 日本のオーケストラも本気になったときは、やはり優れた演奏をしてもらえることを再確認しましたが、「やっつけ仕事」をやられたときは聴衆としてとても悲しいと思うほかありません。

 演奏会後のオーケストラの方々の行動を見ても、その日の本気度が測れると思っています。

 令和5年も素晴らしい演奏会に出会いたいと思っています。

 

12月3日(土)17:00ザ・シンフォニーホール

ベルリン国立歌劇場o_クリスティアン・ティーレマン

ブラームス/交響曲第2番

ブラームス/交響曲第1番

 

12月4日(日)14:00NHKホール

NHKso_ファビオ・ルイージ

メゾソプラノ:藤村実穂子

ワーグナー/ウェーゼンドンクの5つの詩

ブルックナー/交響曲第2番

 

12月28日(金)18:30サントリーーホール

東京so_ジョナサン・ノット

<出演者省略>

ベート-ヴェン/交響曲第9番

ソプラノ:隠岐彩夏

メゾソプラノ:秋本悠希

テノール:小堀勇介

バリトン:与那城敬

合唱:東響コーラス

 

12月29日(土)13:00新国立劇場

東京po_アレクセイ・バクラン

チャイコフスキー/バレエ「くるみ割り人形」

クララ/こんぺい糖の精:池田理沙子

ドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子:奥村康祐

合唱:東京少年少女合唱隊

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 12月はやはり「第九」の月間でどこもここもベートーヴェンの9番を演奏していました。

 選択はいろいろあり、来年で引退される井上道義さんとN響やインバルの演奏も聴きたいと思っていましたが、年末まで仕事があり、仕事おさめのその日にノットさんの演奏会が運良くあったことから、東京交響楽団の演奏会を選択しました。

 東京交響楽団はノットさんにつなぐまでに秋山さんや山下さんの指揮でも演奏をされており、秋山さんは引き締まった演奏を行っていたのだろうなと思っています。

 僕がホールに足を運んだ28日はニコニコ動画で生中継し、さらにテレビ朝日が当日の模様をその日の夜に報道ステーションでも取り上げる状況にあったようで、ホール内も物々しい状況にありました。オーケストラの各々の演奏者の前に小型カメラが設置され映像化していたようです。you tubeはよく拝聴するのですが、ニコニコ動画は見たことがないのでどんな風に放映されていたのかわかりません。

 残念ながら演奏会のあと、僕はなじみにしている五反田の「ステーキ・リベラ」に、年末のステーキを舌鼓しに向かったのでどのようになろうとも関係なかったのですけどね。

 

 とにかく、生演奏の映像化は歓迎です。なにせ、オーケストラも必死に演奏してくれるのは目に見えていますから。N響や読売日響は映像に慣れていますが、東京交響楽団は音源提供はしても映像をぶっつけでやることはそんなに機会としてあるわけではないので心の中で「ラッキー」と叫びました。

 演奏は、まあ凄まじかったです。ノットがそんなに情熱的にというか感情的に指揮するとは思いませんが、この日はかなり圧力を持って指揮していました。第1楽章から相当な緊張感がありました。

 僕はこの曲の第3楽章がとても好きで、非常に丁寧な演奏に良い時間を過ごさせてもらいました。

 第1楽章は弦がゴリゴリ音をならし、演奏する皆さんの弓が1本、2本とやたら切れているのを目にしました。

 ノットも毎年のように指揮していることもあり、余裕綽々でした。

 日本のオーケストラに常任で指揮されるマエストロと呼べる指揮者もほぼⅠ~2シーズンでそれまでの生涯で振った「第九」の総数に匹敵するか上回る演奏を経験できますからね。日本に来る意味はそれだけでもあるのではないでしょうか。

 日本の聴衆も第九演奏については世界で最も耳の肥えた聴衆だと思います。

 

 今回のノットの最後も煽った演奏で締めてくれました。聴衆は大喜びです。さらに「蛍の光」のアンコールもご馳走様でした。

 いつまで音楽監督をやってくれるのでしょうか。令和5年もブラームスのシンフォニーやらマーラーの6番やらヤナーチェクのグラゴル・ミサ、さらに5月にはマーラー以外にリヒャルトの「エレクトラ」を演奏会形式でやってくれます。

 このマエストロでは音楽監督を引く前に絶対にワーグナーをしこたま演奏してもらいたいと思います。

 

 さて、さらには12月上旬に演奏されたルイージとN響によるブルックナーの2番についてです。先般それこそノットの指揮で聴いたばかりでこのような短期間に2回も聴けるとは思いませんでした。

 最近は1番や2番も演奏会で実演される機会が増えました。さらに20年ぐらい前はブルックナーの演奏会に女性の観客は非常に少なかったのですが、昨今は他の曲と変わらずおいでになるようになりました。

 音楽解説でもやたら精神論の「くだらない羅列」がなされ、クナ(パッツブッシュ)やフルヴェン、チェリ(ビダッケ)の名前があげられていましたが、最近はそんな精神論をぶちかます評論家も少なくなりました。

 僕は来るブルックナーでは是非沖澤のどか様の8番などを聴かせてもらいたい気持ち満々です。いつも言いますが、音楽は作り上げるためには背景は大事だと思いますが、精神論を最も重要にすることは大反対です。

 楽譜どおりに演奏することが最も必要なことだというのは故朝比奈隆先生もおっしゃっていました。故意に精神論を音楽にひけらかすのは、逆に音楽に対する冒涜だと思います。

 

 ルイージの指揮も変なこだわりのない正統な音楽で、純音楽としての完成度は非常に高かったです。

 そもそもイタリア人の著名な指揮者でブルックナーをレパートリーの中心にすえる人は見かけませんね。

 古くはトスカニーニ、サバータ、70年代以降のアバド、ムーティも部分的には振っていましたが、特に5番以降は録音もありません。ジュリーニが7,8,9番をウィーン・フィルと定期公演等でやり、録音も残しています。ちなみに僕はジュリーニの8番が好きで、ヴァント(ケルン放送soとの演奏)とともに愛聴盤にしています。

 他にはシノーポリが手を付けていましたが早くに亡くなってしまい、名演を残すまでには至りませんでしたね。

 ルイージはブルックナー演奏を偏見なく演奏してくれていると思います。5~8番のコアな曲を今後どのようにしてくれるかはわかりませんが、N響で聴いた演奏は均整のとれた秀演だったと思います。

 精神論者には辛い一口がありそうでしたけどね。僕は好ましい演奏だったと思います。

 

 ベルリン国立歌劇場管弦楽団は、既に他の記事にしていますのでここでは省略しますが、またティーレマンの「異質の世界」を体験したいと思います。

 

 そして、令和4年の最も最後は今年も「くるみ割り人形」でした。毎年恒例のことです。夢の時間を与えてくれました。

 同じ装置を使用していますが問題ありません。

 

 令和5年は11月にベルリン・フィルの来日があります。今回はかなり大規模に演奏会があり11月20日以降26日までサントリーホール、ミューザ川崎で演奏を披露します。楽しみにしたいとは思うのですが、是非ベートーヴェンでない演目をお願いしたいと思います。特に3番、5番、7番は勘弁してもらいたいと思います。それ以外なら個人的に差し支えないです。4番、8番は逆に大歓迎です。一番聴きたいのは、この前ペトレンコ自身が指揮したマーラーの交響曲第7番です。

 どうなるのでしょうか。

 さらに楽しみなことは12月にルイージ指揮NHK交響楽団でマーラーの交響曲第8番をやることが決定しました。チケット確保できるかどうか非常に難しいかもレませんが楽しみにしたいと思います。