11月になり、2022年も残すところわずかになりました。
その中で徐々にクラシック音楽の来日公演も通常ベースに戻りつつあります。今月も、個性的な演奏会が目白押しでした。クラシック・ファンをしていて良かったという演奏会にも出会える機会となりました。
<キャンセル>
11月13日(日)15:00オーチャードホール
小山実稚恵(p)
シューベルト
楽興の時 D780 作品94/即興曲 D899 作品90/即興曲 D935 作品142より
楽興の時 作品94-6 変イ長調
トルバドゥールの嘆き声
測興曲 作品90-4 変イ短調
即興曲 作品142-1 ヘ短調
楽興の時 作品94-3 ヘ短調
〈ロシア風旋律 Air russe〉
測興曲 作品142-2 変イ長調
楽興の時 作品94-5 ヘ短調
即興曲 作品90-3 変ト長調
ピアノソナタ 第21番変ロ長調 D960
<アンコール>
即興曲 D935 作品142-3 変ロ長調
11月13日(日)16:00サントリーホール
ボストンso_アンドリス・ネルソンス
マーラー/交響曲第6番
11月18日(金)19:00ミューザ川崎シンフォニーホール
東京so_ジョナサン・ノット
<出演者省略>
R・シュトラウス/楽劇「サロメ」
11月19日(土)14:00トリフォニーホール
新日本po_沖澤のどか
大西宇宙(Br)
モーツァルト/フリーメーソンのための葬送音楽
マーラー/亡き子をしのぶ歌
ブラームス/交響曲第4番
11月27日(土)18:00サントリーホール
東京so_ジョナサン・ノット
アンティエ・ヴァイトハース(vn)
シューマン/「マンフレッド」序曲
シューマン/ヴァイオリン協奏曲
ベートーヴェン/交響曲第2番
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今月の演奏会においては、何よりもボストン交響楽団に演奏に感動しました。さすが米国の「ビッグ5」オーケストラということをまざまざと感じさせてもらう演奏でした。
CD化されてしまうとその妙味がわかりにくいのですが、生で聴くコンサートはやはり格別ですね。いくらオーディオ・システムが良くなっても、この点はどうしてもわからない部分です。
一方、ボストン交響楽団の演奏があったため小山さんのピアノが聴けなくなったのはとても残念でした。彼女の演奏も僕の音楽生活の中ではとても大事なものなのですが、今回のプログラムはいずれ今後でも聴くことができるかもしれません。
ボストン交響楽団と「サロメ」は別記事にしてあるのでここでは触れないことにします。
その他の演奏ではまず、沖澤さんと新日本フィルの演奏に驚きました。
沖澤のどかさんは小澤さんも優勝したブザンソン国際指揮者コンクールに出場し、同じく優勝された指揮者です。小柄ですがとてもチャーミングな方ですね。彼女の燕尾服姿は素敵で胸のヒラヒラがいいですね。
女性指揮者ということで、いろいろな意味もあるのですが、日本では松尾葉子さんが先駆的なカテゴリーとなっています。
性別で語りたくないのですが、それでも近年競馬界でも藤田菜七子騎手が出て、今年は今村聖奈騎手が重賞に勝つなど活躍してくれていることから、厚みが出てきてとても良いと思います。
西本智実さんなり三ツ橋敬子さんも出てきましたが、また新たな指揮者が出てきてくれました。
沖澤さんの良さは、何よりも卑屈さがないことだと思います。
新日本フィルが彼女の要求に応え、とても真摯に演奏していたことが印象的でした。
ブラームスの4番は難しい曲だと思いますが、正面から向かった演奏でした。音のつながり自然でかつ美しいブラームスでした。年季の入った古酒の感じはなかったですが、まとまりのある仕上がりでした。
彼女の演奏を是非俣聴きたいのですが、京都市交響楽団の常任になるらしいですが、聴く機会はないですね。来シーズンに東京交響楽団でミューザ川崎の定期でストラヴィンスキーをする予定があるので聴いてみようと思います。
さてもうひとつは、ノットさんの演奏です。
メインがベートーヴェンの2番と非常に地味な演目でしたが、このマエストロの音楽は「いぶし銀」ですね。
前音楽監督スダーンさんも決して悪い指揮者ではなかったですが、プログラムだけでなく外観も地味すぎるため、観客を獲得しきれなかったです。
ノットさんは、プログラムも広く、「やってくれそうな」感覚を観客に与えてくれます。
シューマンは素晴らしかったのですが、ベートーヴェンも変なあおりもなく柔軟な演奏でした。
オーケストラも他のシンフォニーと比べ小編成でしたが、メリハリのある演奏をしていました。
今年の年末の「第九」はノット指揮東京交響楽団を選択しました。第1楽章の緻密な演奏を是非聴いてみたいと思っています。