日経ビジネスのインタビュー(180) 次の次まで読む 6割の勝算で十分 | 藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ

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次の次まで読む 6割の勝算で十分
2015.07.20

古森 重隆(こもり・しげたか) 氏

[富士フイルムホールディングス代表取締役会長兼CEO]





 写真フィルムという「コア中のコア」が急激に

 失われていく状況で、会社のトランスフォー

 メーション(転換)を考えました。

 目標は2兆円から3兆円の売り上げで、

 営業利益率は10%。

 技術的にはリーディングカンパニーとなり、

 高品質の製品を出し続けることでした。


 ようやく、5000億円のM&A(合併・買収)を

 やりつつ、3年間で株主に2000億円超を

 還元できる状況になってきた。

 新たに進出して、まだ成果が十分に出て

 いない分野も確かにあります。

 だけど種はまいたし、時間があれば芽を出す

 はずです。

 医薬などは2018年から2020年にかけて花開く

 でしょうね。そうすると、私が意図した会社の

 転換は一区切りがつくのかな。


 イチかバチかなんてことをやったら経営者は

 終わりですよ。それは「ばくち打ち」と同じ。

 少なくとも6割ぐらいは勝算がないと。

 6割あれば、あとはやり方次第で何とかなる。

 空振りにはならない。


 再生医療というのは、究極で最後の医療です。

 iPS細胞から心臓を作り出し、悪い心臓と取り

 換えられるわけですから。

 今のようにドナーを待ったり、生体拒絶反応を

 心配したりする必要はなくなります。

 我々はiPS細胞の培養に不可欠な「足場材」に

 強く、今回、(iPS細胞の製造を手掛ける)CDIを

 得ました。これは非常に大きいですよ。

 ビジネスにスピード感が出てきます。


 iPS細胞というのは工業製品なんです。

 性質や性能にばらつきがないことが大事になる。

 非常に良質なiPS細胞を作れれば、創薬支援に

 応用できます。この点でCDIは先進的な技術と

 特許を持っていました。


 日本の学者が発明しても、工業化で米国に先を

 越される。そんな例を繰り返してはならない。


 2018年ぐらいに医薬品が収益に寄与するように

 なれば、相当大きな柱になります。(エーザイの

 アルツハイマー型認知症治療薬)アリセプトが

 特許切れを迎える前、年間に数千億円の売り

 上げがありました。(富士フイルムが準備している)

 アルツハイマーの治療薬は適用範囲がもっと広い

 から、会社のフェーズが変わるぐらいの売り上げと

 収益性が見込めます。


 医薬品というのは大変なんです。

 たまにホームランが出るけど、その間がなかなか

 耐えきれない。特に中小メーカーにとって厳しい。

 だけど、富士フイルムの場合は、ホームランが

 出るまで他の事業で支えられる。

 これは、有利に働くと思いますよ。


 (社長に就任して)1年半ぐらいは、富士フイルムの

 ポテンシャルは何で、どんな分野なら適用できるか

 という「読み」の作業を徹底的にやりました。

 それで、医薬や化粧品に参入しました。


 候補者の年齢を考えて、次の次ぐらいまで組み

 合わせを読まないといけないでしょうね。

 経営者にとって、若さは必ずしもプラスには働かない

 から。


 経営者の力だけでは転換はできません。

 笛を吹いても、付いてくる社員が踊らなかったら意味

 がない。踊らない社員を動かすのも経営者の仕事で、

 相当なパワーが必要なのも事実だけれど。

 強い相手にチャレンジする企業文化も大きかった。

 富士フイルムは米イーストマン・コダックに正攻法で挑み、

 それをねじ伏せてきた。

 そういうDNAがあるから、転換できたんだろうね。
 

  (PP.042-045)




富士フイルムホールディングス<br />代表取締役会長兼CEO 古森 重隆 氏

富士フイルムホールディングス
代表取締役会長兼CEO 古森 重隆 氏
(『日経ビジネス』 2015.07.20 号 P.043)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20






今回のインタビューは、今週号(2015.07.20)の特集、
「次はiPS 富士フイルム 古森重隆、本業を培養する」
のPART.4に組まれています。


富士フイルムは危機をバネにして変革してきました。
銀塩フィルムで世界一になったと思ったら、
デジカメが登場し、あっという間に取って代わりました。


富士フイルムは、長年培ってきた独自技術を活かし
異業種に参入してきました。


化粧品や医療の分野です。
一見すると関連性がなさそうに見えますが、
富士フイルムの基礎技術とコア技術を応用すれば、
可能になったのです。


下図をご覧ください。
これだけの基礎技術とコア技術を保有しています。
iPS細胞への取り組みも「奇異」ではありません。
富士フイルムなら納得できると思わせます。

富士フイルムの技術力

富士フイルムの技術力







キーセンテンス


キーセンテンスは、

 少なくとも6割ぐらいは勝算がないと 
です。


10割の勝算を待っていたら遅すぎ、かと言って
「イチかバチかなんてことをやったら経営者は
 終わりですよ」ということになります。


経営者に不可欠な能力は、「読む力」「決断する
勇気」そして「リーダーシップ」が後継者に必要な
能力だ、と古森さんは述べています(P.045)。


これらは古森さん自身の能力と言い換えて差し
支えないでしょう。






私見



富士フイルムはただでは起きない、したたかで
柔軟な組織体だと思います。


「経営者の力だけでは転換はできません。
 
 笛を吹いても、付いてくる社員が踊らなかっ
 
 たら意味がない。踊らない社員を動かすのも

 経営者の仕事で、相当なパワーが必要なの

 も事実だけれど」

と古森さんは語っていますが、経営者に先の3つ
の能力がなければ、変革はできません。


変革できているのは、経営者にその資質がある
からに他なりません。







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