試合後、同じ控え室だった郷野さんが顔を腫らせてうなだれている和雄さんに声をかけた。





「俺はお前の試合を見て自分が情けなくなったよ お前はホントスゲエよ。」








あそこにいたファイターがみなそう思ったのではないか。







試合後 和雄さんの剥離骨折をしていた足首は腫れ上がり、片目も腫れ上がって 死闘の凄さを物語っていた。







4ラウンドが終わった時点でスタミナが完全に底をつき、会長に抱えられてコーナーに戻ってきた和雄さん。

5ラウンドは立っているだけがやっとだったはずだ。



しかし和雄さんは闘い続けた。




スパーもやってないから足もパンパンだったはず。





タオルを投げられるまでずっと動き続けた。





普通なら動けない。








三崎の前に三崎なし。
三崎の後に三崎なし。



勝敗?



記録?





ガードからコツコツやってれば勝敗も良くなり記録もつくだろう。








しかし人智を超えたものは見せれない。






本物のファイターにしか見せれないんだ。






勇気を与えてくれた和雄さんに心から感謝したい。








神は降臨する。