1.検察の内部対立
 検察庁法改正はネットで騒動になる1月も前に第一報を報じたのは産経新聞なのである。その後、東京高検の黒川検事長との賭博麻雀で相手をしていた2人も産経新聞記者である。
 はっきりとは言い切れないが、良くも悪くも産経新聞は検察と密接な関係があり、検察の自主存立思考の良識派も、時の政権にうまいように使われる勢力も、産経新聞をリーク先として使ったのだろう。
 今回の賭博麻雀を週間文春に漏らしたのは、検察自身なのではないかと考えられる。

2.急に出てきたSNS規制
 テラスハウスというTV番組で悪役を演じていた出演者が自殺した。これを受けたという形で安倍政権は、投稿者の特定を容易にし、誹謗中傷投稿を抑止する制度改正を行うという。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/273789
 ネットの誹謗中傷は問題だが、このテラスハウスという番組自身にも問題があった。シェアハウスでの出来事を放送するのだが「仕込み=演出」であり、トラブルもわざと作り出したものである。
 ドラマはフィクションだと明示している。テラスハウスはフィクションだと明示していなかった模様だ。
 昔、おしんをいじめる継母役の女優が八百屋に買い物にに行ったら「おしんをいじめるから売らない」と言われたそうだ。
 現実と創作の区別がついていない。アニメは絵に描いてあるので、どんなに突き詰めても絵空事ということで、現実との混同は起きづらいが、実写映像ではそれが容易に起きる。しかもフィクションだと断りを入れなければ尚更で、海外でも自殺者がでて社会問題になっている。
 つまり、事の発端はテレビ局の製作姿勢にあり、十分なケア体制が存在していたのかについても責任が問われるべきであろう。極論すれば、放送電波を管轄する総務大臣の責任である。
 その総務大臣が「#検察庁法改正案に抗議します」のSNS運動で法案を潰されたから、逆ギレ的にSNS規制を持ち出すのは本末転倒である。

3.大衆が蜂起すれば統治機構が抑圧するのは困難
 元レバノン大使の天木直人氏がアメリカ高官の話として
「ドーベルマンが6匹いれば日本に言うことを聞かせられる」
という趣旨の発言があったという。
 これはおとぎ話ではなく、実際に日本はアメリカの統制下にある。
 しかし、天木氏は「大衆が蜂起したらアメリカと言えども押さえつけることはできない」とも言う。
 SNS上の芸能人の発言を発端とした世論の胎動は、日本にとって新しい時代をもたらす可能性を秘めている。

 安倍総理は来月渡米するという。長期政権の秘訣は米国に取り入って、要求を最大限飲み続けることである。
 3月に入って中国や諸外国は米国債の保有を減らしているが、日本は増やしている。
未曾有の国難においても金融面で米国に「朝貢」している。
 仮にカネの話は直接的には人々に被害が及ばないからまだしも、昨今のコロナ対応の杜撰さは我々の生死に関わるので座視できない。
 検察内部の動きは検事総長人事にまで手を突っ込んできた政権に対する意趣返しではあるのかもしれないが、「このままでは国が崩壊しかねない」という危機感の表れという見方もある。