1.検察とメディア
 黒川弘務東京高検検事長が常習的に賭け麻雀を行っていたという理由で辞職した。
懲戒に当たらない「訓告」処分ということで、黒川氏には6700万円を越える退職金が支払われるということで、世論は荒れている。
 週刊文春に報道された賭け麻雀は産経新聞記者宅で行われ、黒川氏の送迎には産経新聞のハイヤーが使われた。黒川氏は10万円も勝って帰ったと言われている。
 麻雀参加者は黒川氏-産経記者-産経記者-退職した朝日新聞記者だったとされる。朝日記者は数合わせで呼び出されたようなので気の毒なのだが、自粛要請の最中に賭け麻雀に応じるとは脇が甘いと言われてもしょうがない。
 だが、この検察とメディアの癒着は別の事件で異様な様相を見せていたのである。

2.陸山会事件と検察
 陸山会事件については森ゆうこ参議院議員の「検察の罠」に詳しく書かれている。最後の章では当時の森議員と「黒川弘務官房長」(当時)とのやり取りが詳述されている。黒川氏が政治家相手に物腰低く対応している様子が、まるでドラマ映像を見ているかのように書かれている。本書では暗然と陸山会事件で主導的役割を果たしたのは黒川氏であると指摘している。

 

 

 同時期に政権交代を阻止するため石井一議員を追い落とすために、最終的に検察は世に言う「木村事件」を立件した。しかし、この村木事件は前田検事による「フロッピディスク日付改竄事件」により無罪となり、厚生労働省局長であった木村氏は無罪となり、後に事務次官として返り咲いている。
 実は陸山会事件では更に大規模な報告書偽造が行われていた。
 内部告発によってニセ報告書が明らかになり、小沢氏は無罪となった。
 判決文に
「事実に反する内容の捜査報告書を作成し、これらを送付して、検察審査会の判断を誤らせるようなことは決して許されないことである。(中略)本件の審理経過等に照らせば、本件においては事実に反する内容の捜査報告書が作成された理由経緯等の詳細や原因の究明等については、検察庁等において、十分調査等の上で対応がなされることが相当であるというべきである。」
http://nobuyoyagi.blog16.fc2.com/blog-entry-791.html
と書かれてしまった。まさに前代未聞の「検察有罪」である。


3.佐藤栄佐久知事冤罪事件
2006年7月 原発のプルサーマル政策に疑念を表明していた佐藤栄佐久知事が逮捕された。同年9月 安倍政権発足。
同年12月、共産党吉井英勝議員が、国会で原発の全電源喪失の危険性を指摘。安倍総理が危険性を完全否定。

 佐藤栄佐久知事冤罪事件はMOX燃料の導入を図る原子力村vs抵抗する福島県知事の構図であった。
 1998年プルサーマル計画を受け入れたものの、東電のトラブル隠しの発覚により、2006年原発の稼働を拒否したのである。

 佐藤栄佐久氏著「知事抹殺」を読むと凄まじい取り調べの様相が書かれている。
【知事の弟は東京拘置所の取調室で、担当の森本宏検事に「知事は日本にとってよろしくない。いずれ抹殺する」と言われた。】

 

 

 検察は多くの関係者に対する長時間取り調べを行った。遂に自殺未遂者が発生し、植物人間状態になってしまった。佐藤栄佐久氏はこれ以上周囲の人に迷惑をかけるわけにはかないということで、無罪の罪を受け入れて虚偽自白をしてしまった。
高裁判決は有罪となったが収賄金額は「0円」であった。
 この件では但木敬一氏・大鶴基成氏・森本宏氏・前田恒彦氏が関わったとされている。

 その後、MOX燃料を格納容器及び燃料プールに24束ずつ装荷していた福島第一原発3号機は、2011年3月14日に燃料プールで即発臨界。3月21日に圧力容器破損による放射能雲放出に至る。
 ただ、地震による1号機圧力容器内の主蒸気が建屋に漏洩し、作業員の大半は現場から去ってしまった。私見では後数ヶ月で40年に達しようとしていた老朽原子炉の1号機を停止していれば、過酷事故は避けられた可能性は高いと考える。

 

 


【佐高信×早野透+平野貞夫の3ジジ放談】清規と陋規 検察と政治20200521

 

 



「河井前法相“本格捜査”で安倍政権倒壊」を解説 郷原信郎の「日本の権力を斬る!」#10

 

 


知事抹殺の真実
http://eisaku-movie.jp/

 

 

参考文献
安倍官邸が「禁じ手」を使ってまで検事総長にしたがる男の正体
https://www.mag2.com/p/news/439975
黒川弘務の正体
http://nobuyoyagi.blog16.fc2.com/blog-entry-791.html