切山椒の衰退 | 沖縄旅行 その他旅行のブログ

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2012(平成24年)からの沖縄、北海道、九州、本州の旅

 去年の11月は三の酉までありました。その11月末のこと、テレビに浅草の某甘味のお店が映りました。取材一行はそのお店の店頭に立ち寄り、今のお勧めは何でしょうか?と問いました。そしたらそのお店の方が「こちらにある・・・」と店頭の目立つ場所を手のひらで示して「粟ぜんざいです」「季節のものですからね」と紹介したのです。見ていた私は、今の季節なら切山椒じゃないですか?と言いたくなりました。お酉様の時季のお菓子である切山椒を押しのけて、冬ならいつだっていい筈の栗ぜんざいが紹介されるとは。何となくお店の店頭の様子を見ると、切山椒が置いてあった場所を移動して粟ぜんざいのスペースを拡充した感じのポジショニングに見えました。もしかして、取材したテレビ局側の企画の担当の方は切山椒を知らないのかも、だから切山椒を取材しようと思わなかったのかも、と思いました。もしくは、お店の側が粟ぜんざいを取材して欲しいという希望だったのかも知れません。どちらだったとしても切山椒の衰退の兆しではないかと思ってしまいました。切山椒は、色とりどりのすあまに山椒を練り込み、短冊状もしくは棒状に切ったお菓子です。マイルドなすあまに程よくスパイシーな山椒がアクセントになって美味しいのです。すあま自体が、関東より東のお菓子で、関西以南では多分すあまに親しんではいないと思われます。増してや切山椒など何それな感じなのかも知れません。私など、酉の市と言わず、季節を問わず、切山椒があってもいいと思っているくらいですが、別に材料は年中ある訳ですし。以前酉の市の時にお酉様の近隣の和菓子屋さんで切山椒を売っており、酉の市が過ぎた後に行ったら売っておらず「あれはお酉様の時のお菓子なのです」と言われてしまった思い出があります。季節感にこだわりのある和菓子屋さんだったんですね。そんな地域的にも時期的にも希少な切山椒ですが、切山椒を一つの名物としていた浅草近辺の和菓子屋さんで、一昨年あたりコロナの煽りで閉店してしまったお店もありました。そもそも、酉の市自体が人が集まる市の形で開催されなくなってしまった状態でしたし。それにしても和菓子屋さんが作らなくなってしまっては切山椒の存続危機です。何とか生き残って欲しいです。少なくとも冒頭の某甘味店では作り続けて欲しいと思って去年は買ったのでした。