昨今、「静的ストレッチをトレーニング前に行うと、筋力が低下する。」という話をよく耳にします![]()
選手から質問がありました。
「インターネットに運動前のストレッチは逆効果だと書いてありましたが、そこんとこどーなんですか?」と。
私は、「時と場合によるかな!!」と答えました。答えになってないです。すみません(TT)
そもそもストレッチといっても様々で、動的ストレッチや静的ストレッチ、PNFストレッチなどあります。
確認したところ、選手がインターネットで見たものは静的ストレッチのことを指していると思います。
○静的ストレッチ・・・反動を使わず静止した状態で伸ばすようなものです。
○動的ストレッチ・・・自らの力で、関節を動かしながらストレッチングするものです。同じ位置で静止していることはありません。
ということで、
今回は静的ストレッチがトレーニングや練習などに及ぼす影響と導入の仕方についてお話ししたいと思います。
まず、運動前にまたはトレーニング、練習・試合前に静的ストレッチをすると逆効果になってしまう場合を考察してみます。
静的ストレッチについての研究は世界中でたくさん実施されています。
多くが静的ストレッチは筋出力に対して悪影響があると報告しています。研究数は僅かですが、悪影響がないと報告している研究もあります!
そこで有名な研究をご紹介します。
この世界中の静的ストレッチに対する研究(1966〜2010)を実際のとこは何に対して大体どのくらい影響があるのか?をまとめて解析してくれた研究(メタアナリシス)〔1〕があるのです![]()
多くの研究をまとめたメタアナリシスの結果こうなりました。下記の数値は静的ストレッチ介入後との変化の割合を示しています。
筋力は−5.4%
・・・特にアイソメトリック収縮時(筋肉が長さを変えずに力を発揮する時)に変化率が高いです。
パワーは–1.9%
その他にも、ジャンプやスプリントは−1.6%
この研究を見るとやはり、100メートルのタイム計測前やアルペンスキーのスタートの直前に静的ストレッチをすると
ネガティブな部分が多そうですね![]()
では、静的ストレッチが効果的である場合について考察してみます。
ここで研究をもう一つ紹介したいと思います。
この研究〔2〕ではパラレルスクワットのセット間で静的ストレッチをしたらどのような影響が出るのか
報告しています。
パラレルスクワットを12回4セット行います。挙上重量は65%1RMで3秒間に一回の動作スピードで行います。
セット間に30秒間臀筋群と大腿四頭筋の静的ストレッチを複数セット実施しました。
その結果、静的ストレッチ介入群は特に大腿四頭筋の柔軟性がトレーニング実施前と実施後で、有意差がありませんでした。
つまり、疲労により硬化すると言われる筋肉の柔軟性を、セット間の静的ストレッチによって維持できる可能性を示してくれました。
〜まとめ〜
以上の研究などを踏まえ、運動前、トレーニング、練習・試合前の静的ストレッチについて個人的な結論は
「時と場合による」
といったところでしょうか笑
そもそも、静的ストレッチを行う目的としては、可動域、柔軟性の改善ですよね。
つまりアルペンスキーのスタート直前や1RMテスト直前での静的ストレッチはお勧めしません。
ただ、柔軟性や可動域が足りない人については、トレーニング前のウォームアップの過程で、足りない部位のみの静的ストレッチは取り入れると良いでしょう。柔軟性または可動域トレーニングとしてです。仮に筋力が少し落ちたとしても、正しい可動域や方向でトレーニングを実施することが大切だと考えているからです。
例:バイク→足りない箇所の静的ストレッチ→コレクティブEX、ムービングプレパレーション→トレーニング
といった具合です。
結論、、、、、
時と場合によります!!
参考文献
〔1〕Simic L Salabon N Markovic G
Does pre-exercise static stretching inhibit maximal muscular performance? A meta-analytical review.
〔2〕飯田 祐士,大西 史晃,佐藤 裕務 (NSCAジャパン)
セット間のスタティックストレッチングが多関節運動に及ぼす影響
たかね

