お気に入りの古書店主(株式) | プレシニア行政書士の書く短編小説
2016-01-07 06:06:20

お気に入りの古書店主(株式)

テーマ:小説
「おめでとうこざいます」私は、お気に入りの古書店主に新年の挨拶のため古書店に訪れた。

「やあ、おめでとう。今年もよろしくね」
店主はほこりが取れて、書名が読めるようになった、SF小説を二、三冊小脇に抱えながら笑顔を返した。

「新年そうそう、古書店巡りですか?初詣に彼女とデートじゃないんですか」美佳ちゃんはかわいい顔に似合わず辛辣な言葉を私に言った。

「美佳ちゃんだって、新年そうそう、古書店なんかでアルバイトじゃないの」と言い返す私。

「古書店なんか、はないだろ」店主は不満げに私を睨んだ。

「えっ、そういうつもりじゃ、ごめんなさい」

「わぁい、叱られた、叱られた」美佳ちゃんは、子供のようにはしゃいで店の奥に入ってしまった。

「店主、新年そうそう、いろんな事がおこっていますね。株式が大きく下落してますし、北朝鮮が水爆実験、サウジとイランの国交断絶でしょ、まだ、なにがでるかわかりませんよ」

「そうだね、地政学的なリスクが増えると、株式相場は下落するよね、朝鮮半島と中東は火薬庫みたいな場所だからね」

「でも、株式相場って言うのは、変なものですね、上がったり、下がったり」私は、店主に言った。

「僕はね、"株式相場は官製ばくち"と思ってるんだよ、つまり、国が仕組みを作って、"さあ、はったはった"だよ」

「へぇ、でもテレビや新聞でいっている株式の仕組みや理論はアカデミックだけどなぁ」と理解できない私。

「そこなんだよ、ばくちだよって言うと、普通は怖くて寄り付かないでしょ、アカデミックにすることで何か知的な行為に見せかけているんだよ。特に、長期運用で大事な資産形成を、なんて、長く持つほど普通はリスクは高まるよね」店主はあつく語った。

「店主、株式投資はどう考えたらいいの?」考えのまとまらない私は店主に質問した。

「やらないこと、だよ」

「それじゃー、みもふたもないですよ」不満げに私。

「あえて、したいのなら、好きな企業の株式を買ってずっとその企業を応援することだよ、必ず株主総会に出て、もっとその会社を好きになって行くことだよ。恋愛といっしょだね、それに、恋愛だと彼女にお金が出て行くけど、株式は配当金でお金がもらえるしね、でも、基本は、ばくちだからね」店主はいった。

「なに、なに、その恋愛わたしもしたいな」恋愛と聞いて美佳ちゃんが店の奥から顔を出して言った。

「美佳ちゃん、恋愛は恋愛といっても、参加するには、お金がいるんだよ」いつも可愛いなと思いながら美佳ちゃんに説明した。

「なぁんだ、」すぐに興味を失った美佳ちゃんは、また、奥へ引っ込んだ。

「今年も変わらないのは美佳ちゃんだけだね」店主は笑いながら話を締めくくった。

終わり

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